流氷はどこから北海道にくるの?時期や見頃とでき方も調べてみた!

流氷気象

流氷はどこから北海道にくるの?

 

北海道の風物詩の1つといえるのが流氷ですね。

 

この流氷がどこからくるのかについては、意外に知られていないです。

 

結論からいうと流氷はオホーツク海に由来しています。

 

流氷はどこから北海道にくるの?

海岸近くまで押し寄せる流氷の写真

 

ちなみに流氷の写真はすべて、ここ数日仕事の関係で知床に訪れたときに撮ったものばかりです。

 

つまり、北海道には今(3月18日現在)でも流氷が接岸している地域がたくさんあるということです。

 

主に流氷はオホーツク海の北西部、シベリア沿岸部で発生して流れてきたものなんです。

 

シベリア沿岸部から流れてくる理由は、シベリアの季節風や海流の流れに乗り南下するためです。

 

それが、北海道のオホーツク海岸部に漂着することにあります。

 

つまり、オホーツク海の北西部で発生した流氷が、風と海流によって南に下り、その先に陸があって辿り着いている形です。

 

流氷はイメージほど遠くから流れてきているわけではないんです。

 

また、長距離を複雑なルートを辿って移動してきたわけでもないことが分かります。

 

地図でオホーツク海を確認すると案外近く感じられます。

 

しかし、実際には1,000km以上あるので、人間の感覚からすれば決して近くもないです。

 

流氷はアムール川から流れ出た氷説は間違い?

 

これまで流氷はアムール川から流れてくるものだと考えられていました。

 

しかし今では、この説は実験によって否定されています。

 

アムール川の河口にブイを設置する実験が行われたところ、氷の密度が高いからか全く流れが起こらなかったのです。

 

 

つまり、アムール川の氷は移動しないことが分かったわけです。

 

サハリンの北側に設置されたブイは確かに動きました。

 

アムール川から流れ出てくる氷ではないということです。

 

正確には、アムール川の河口付近から氷結域が北海道まで行き渡ったものと言えます。

 

【参照】流氷って何?冬のオホーツク海を埋め尽くす氷原のメカニズム

 

サハリンの北側に設置されたブイに勢いはなく、少し動いて止まってしまったそうです。

 

サハリン西岸で発生した氷はロシア側を南下します。

 

ですが、日本側には流れてこないことが判明しています。

 

これは、衛星画像を含めて確認されています。

 

そのため、アムール川に由来する説が否定されることになりました。

 

流氷が北海道にくるルート

 

オホーツク海は、冬になるとシベリアから冷えた北西風が海に吹き出す形で冷やされます。

 

主にシベリア沿岸とサハリンの東海岸側で発生した氷が、やがて東樺太海流に乗って流れてきます。

 

サハリンの東側から流れる東樺太海流が北海道にくる流氷のルートなんです。

 

流氷が北海道にくるルート

接岸間近の流氷

 

稚内側から今度は宗谷暖流に乗って紋別から網走方面に向かい、知床半島沿岸に至ります。

 

改めて確認すると、流氷の発生源はシベリアとサハリンの沿岸ということになります。

 

それが、東樺太海流に乗って南下、その後宗谷暖流によって東側に流されることが理解できます。

 

ロシアからはサハリンの東側に沿ってほぼ真っ直ぐ南下していきます。

 

 

宗谷地方から流れ込む海流が北海道に沿って東に流れると覚えると、理解が深まるでしょう。

 

分かると簡単なことではあります。

 

ですが、発生源と流れのメカニズムが判明したのは実験して確認を行った人達のおかげに他ならないです。

 

それなりに遠いところから流れ着く流氷は北海道の冬の景色を形作るだけでないです。

 

流氷は、海の生態系にも影響を与えています。

 

流氷が北海道にくる時期と見頃はいつ

 

流氷が北海道にくるのは、2月中旬から約1ヶ月の期間です。

 

この冷え込みから暖かくなっていく時期が流氷の見頃となります。

 

ちなみに、流氷が肉眼で初観測される初日は1月の下旬頃になることが多いです。

 

流氷が北海道にくる時期と見頃はいつ

流氷が接岸した様子

 

それから本格的に流れ込んできます。

 

流氷が北海道の沿岸に接岸し始めるのは2月上旬から中旬頃です。

 

なので、それ以降の約1ヶ月間が見頃となります。

 

ただ、近年は気候の変動の影響もあって流氷そのもののが減っています。

 

また、この時期発生する低気圧による風の強さや方向にも左右されます。

 

今後、見頃となる時期が変わってくる可能性もあるかもしれません。

 

気候の変動や温暖化については下記のページで詳しく解説してみました。

 

 

 

 

 

当然ながら天気や風の影響も受けるので、流氷の見頃はあくまでも目安となるでしょう。

 

北海道に出向いて実際に見たい場合は初観測を確認しておくことです。

 

そこから接岸が本格化するタイミングを見計らって足を運ぶことをおすすめします。

 

なお、北海道で流氷が見られる場所は1ヶ所ではないです。

 

海岸近くに流氷の一部が接岸している写真

 

オホーツク海のある紋別あたりから知床方面に至るまで、広範囲に観測スポットがあります。

 

ちなみに海が流氷で覆われると困るのが漁業を営んでいる漁師さんたちです。

 

流氷がくると漁船で漁に出られない、または漁場までの航路が阻まれるためです。

 

ですが、北海道のほとんどの漁師さんはこの流氷を邪魔者扱いしません。

 

その理由は、流氷に付く豊富な植物プランクトンも一緒にやってくるからです。

 

プランクトンが増えるとそれを餌にしている魚も群がるので長い目で見れば、それが豊漁に繋がるためです。

 

私の父親も北海道の漁師町で漁業をしていますが、流氷の恩恵を受けているといつも言っています。

 

また、流氷を観測する場所によってまた見え方が違ったり雰囲気も異なります。

 

1ヶ所で思ったように見られなくても、他の場所に移動して見てみるのもありです。

 

いずれにしても、1月下旬ごろの初観測と、2月の接岸が見頃を左右するのは間違いないです。

 

ベストなタイミングを見計らうにはこまめな流氷情報のチェックが大事だといえるでしょう。

 

流氷のでき方

 

流氷のでき方にもいろいろあります。

 

水の上下が混ざり合う形で流れる海が、冷たい風に冷やされることで少しずつ冷えていくのが基本的なメカニズムです。

 

海の表面に氷が張るのは、深いところの水ほど冷えにくく凍りにくい為です。

 

流氷のでき方

気温が低いときに海が凍って流氷になる様子

 

氷が浮くこともあって、海が完全に凍らず流氷になるというでき方です。

 

オホーツク海は海面付近の塩分濃度が比較的低いといわれており、50mよりも下の濃度が濃いとされています。

 

この濃度の差もオホーツク海の流氷のでき方に影響しています。

 

濃度の異なる海水が混ざらず、層のような形で存在していることがポイントです。

 

オホーツク海の流氷はシベリアから発生して流れてきた北西風が海に吹き出し、気温もマイナス40度以下になることもあり、海岸側から海面が凍り始めます。

 

そして海氷の発生と流れを繰り返し、次々と押し出されるような形で海面が覆われていきます。

 

海氷に開く海の部分をポリニヤといいます。

 

ここでは大気と海との間で熱交換が行われていることが、最新の研究によって判明しています。

 

盛んに熱交換が行われることで海氷の発生が早くなります。

 

そのため、短期間の間に海面を埋め尽くすことになります。

 

海を覆いつくす流氷の様子

 

これが発生のメカニズムですが、実は北海道の近くでも僅かながら海氷が発生しています。

 

シベリアから流れ着く流氷は厚みがあります。

 

これはサハリンの東側を南下する間に塊が大きく、厚みを増すのが理由です。

 

つまりそれだけ時間を掛けながら南下してくるのだと分かりますね。

 

流氷にところどころ隙間が出来て海が見えてる

 

途中で温まったり溶けることなく、少しずつ厚くなるメカニズムを知ることができます。

 

逆に、厚みがないものは発生してからあまり時間が経っていないか、北海道の近くでできたものと考えられます。

 

このように流れだけでなくでき方1つにも奥深さがあります。

 

それを知ることによってまた流氷の見え方が変わってくるのではないでしょうか。

 

流氷が見れるのは北海道のどこ?

 

北海道で流氷が見られるのは、オホーツク海に面している沿岸部です。

 

具体的にどこで見れるかといえば、紋別や網走、それと知床です。

 

紋別は氷海展望塔のオホーツクタワーが有名です。

 

 

オホーツクタワーは、まるで海の上から見渡すように流氷を見ることができます。

 

また地下も3階まであって、日本で最大級の海底観察窓が設置されています。

 

オホーツク海の海底8mで流氷を見ることが可能ですから、とても迫力があるといえるでしょう。

 

海に出て間近に見れるとしたら魅力的ですが、ガリンコ号はまさにその希望を叶えてくれます。

 

 

氷を砕きながら進むことができるガリンコ号は、貴重なクルーズ体験を提供する観光船です。

 

砕氷船に乗ることができるチャンスでもあるので、興味を持ったら挑戦してみるのもおすすめです。

 

砕氷船は網走でも運航しており、観光砕氷船おーろらがクルーズを楽しませてくれます。

 

観光砕氷船おーろらはガリンコ号と違い、船の重さで氷を割ってダイナミックに突き進みます。

 

 

網走から知床に掛けては、陸の移動で楽しめる列車旅が可能です。

 

流氷物語号は1日2往復限定の運行です。

 

1時間の列車旅は貴重なもので、利用してみる価値があります。

 

知床のプユニ岬は、海岸線からオホーツク海が一望できる絶景スポットです。

 

初観測からまもなく見れるスポットでもあるので、いち早く見たい人におすすめです。

 

流氷はどこから北海道にくるの?|まとめ

 

流氷はどこから北海道にくるのか?

 

その疑問の答えはオホーツク海にあります。

 

アムール川ではなく、シベリア沿岸とサハリンにあることが分かりました。

 

北海道沿岸にくる流氷の写真

 

劉邦の見れる時期と、でき方は2月中旬から約1ヶ月が本格化する時期となります。

 

シベリアから流れる北西風によって冷やされた海水が凍り、海氷に開くところにまた海氷が生まれるでき方をします。

 

東樺太海流と宗谷暖流の流れにのって、網走から知床あたりの沿岸部に辿り着くわけです。

 

見ることができるのはまさにオホーツク海に面するこれらの地域です。

 

どの地域にもそれぞれ魅力的に楽しめるスポットがあります。

 

また、流氷の楽しみ方も海に出たり陸を移動したりと様々です。

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