ヒグマ(羆)による北海道の事件
ヒグマ(羆)による北海道での四大事件!
また、このほかにも北海道ではヒグマ(羆)による多くの事件が発生しています。
ヒグマは、北海道道内に推定1万頭以上が生息している事が報告されています。
そのため、山岳地域や森林地帯で遭遇する確率が高い日本最大の哺乳類生物となります。
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件は、北海道日高郡静内町に位置する日高山脈のカムイエクウチカウシ山で昭和45年7月に発生したヒグマ襲撃事件です。
福岡大学ワンダーフォーゲル部の部員5人のうち3人がヒグマ(羆)の襲撃で命を落とした痛ましい事件です。
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件は、初日のキャンプ地とした九ノ沢カールで7月25日〜26日にかけて3回にわたりヒグマの襲撃を受けます。
最初、ヒグマに荷物をあさられたが、このときは音を立ててヒグマを追い払い、荷物も取り返しています。
このヒグマが一度自分の獲物と認識した荷物を取り返す行為が、獲物を奪われたことになり学生たちを敵とみなしたと言われています。
部員2人が北海学園大学や鳥取大学の山岳部に救助要請をしただけで九ノ沢カールに留まる行為が事件の原因といわれています。
ヒグマ(羆)は、九ノ沢カールに九ノ沢カールに現れると学生の1人を襲撃します。
また、下山中に1人と再び九ノ沢カールに戻って夜を明かした1人が襲撃され、計3人が命を落としています。
三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)
三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)は、北海道苫前群苫前町三渓で大正14年12月9日〜14日までにかけて発生したヒグマ(羆)襲撃事件です。
攻撃力の低い人間の危険性の無さと人間の味を知った事で人間を餌として認識し、数度にわたり民家を襲っています。
このときのヒグマ襲撃により、7人の人間の命が奪われ、重傷者3名という凄惨な事件となりました。
札幌丘珠事件(さっぽろおかだまじけん)
札幌丘珠事件(さっぽろおかだまじけん)は、1878年1月11日〜18日かけて札幌市東区丘珠町で発生した熊害事件です。
冬眠中のヒグマ(羆)が猟師の発砲により手負いの熊となって3人の命を奪い、重傷者2名を出す凄惨な事件でした。
このように、冬眠出来なかった穴持たずや手負いのヒグマは強暴性が増し人間を躊躇(ちゅうちょ)無く襲うと知らしめた事件です。
石狩沼田幌新ヒグマ事件(いしかりぬまたほろしんじけん)
石狩沼田幌新ヒグマ事件(いしかりぬまたほろしんじけん)は大正12年(1923年)8月21日の夜から8月24日の間に北海道雨竜郡沼田町の幌新地区で起きたヒグマ襲撃事件です。
このヒグマ事件は、ヒグマ(羆)が開拓民の一家や駆除に出向いた猟師(アイヌのクマ狩り)を襲いました。
オスのヒグマの成獣により4名が亡くなり、4名の重傷者を出しています。
北海道のヒグマ事件としては、日本史上2番目となります。
ヒグマ(羆)に襲われる理由
ヒグマ(羆)が、なぜ人を襲うのかその理由?
これらの3つの理由に大別することが出来ます。
ヒグマは、冬眠する事から食物に対する執着心が非常に強い習性があります。
福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件ではヒグマが1度でも漁った物を持って逃げた事により襲われたとされています。
ヒグマ(羆)は、基本的に人間に対する基本知識が無く遭遇を避ける行動をとります。
ただし突発的な遭遇においてはヒグマが驚いて自己防衛の為に人間を襲う時があります。
私も北海道出身で、ヒグマが棲む地域にも近く目撃も多いため、山道での対策としては大きな音を立てていました。
ヒグマは、冬眠中の1月〜2月かけて500g程度の子熊を1頭〜3頭出産し1年半〜2年間子育てを行います。
子熊は、生後1年半〜2年で独り立ちして自分の縄張りを確保します。
なお、縄張りが確保出来無い事でイライラした若熊が人間を襲う事が多いのも現状です。
野生のヒグマの平均体長はどのくらいになるのかについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
→ヒグマの寿命!最長年齢と平均年齢・体長・体重は野生と飼育で違う?
若熊は、独り立ちするまで母熊に人間などの危険から隔離されていた事から人間に興味を抱きじゃれるうちに餌として認識し襲うこともあります。
また、自分の縄張りの餌を横取りされない様に人間に力試しを挑み襲って来る若熊も多くいます。
冬眠の時期に遭遇するヒグマは、冬眠に失敗した穴持たずと呼ばれています。
エサの乏しい冬季に彷徨っている事から空腹であり、強暴性が非常に強く遭遇した人間を襲うリスクが高いとされています。
ヒグマ(羆)の事故や事件の多い時期
北海道では、7月に発生した福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件がありました。
沼田幌新ヒグマ事件は8月に起きています。
冬眠前の12月に発生した三毛別羆事件と夏の8月に発生した石狩沼田幌事件があります。
また、冬眠後の1月に発生した札幌丘珠事件が北海道四大熊害事件とされています。
このように、冬眠から覚める3月下旬〜冬眠に入る時期までは事故や事件が発生しやすいと言えます。
冬眠から覚める春は、空腹なヒグマ達も空腹を満たす為に森林地帯や山岳地域を動き回り餌を探します。
初夏〜秋にかけては、子育て中の母熊が繁殖行動をしない事から繁殖行動をしたい雄熊が子熊を襲う時期であります。
子熊の子育て中の母熊は雄熊の接近に神経を尖らせる時期である事から小熊に近づく人間を襲撃するリスクが非常に高い時期でもあります。
秋は、北海道の様々な川で海を真っ黒に染めるほどの鮭が遡上する時期である事から餌が非常に豊富な季節です。
そのため、ヒグマは餌に恵まれているので人間を襲わないとされている時期です。
しかし、北海道では無いですが、ロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔で発生した星野道夫氏羆襲撃事件のケースもあります。
この事件で襲撃したヒグマのように、地元民に餌付けされていた場合には人間に対する恐れや鮭よりも美味な食物を持っている事を知っています。
この例からも秋でも人間を襲うヒグマが存在する可能性が高いとされています。
12月〜翌年の3月までの冬眠中は、冬眠から覚めて秋に初冬を迎えるまでに蓄えた脂肪を長持ちさせる為に熊は新陳代謝が極端に下がった状態にあると考えられていました。
冬眠中の熊を刺激する事は襲撃を受ける可能性がある行為です。
熊は、リスやコウモリなどに比べて体温の低下率が少ない事から冬眠中も活性状態に近いです。
冬眠中の熊を狩ろうとした札幌丘珠事件では手負いのヒグマが暴れ狂った記録が残っています。
自分の縄張りを確保出来ずに冬眠の為の穴を掘れなかった穴持たずが森林地帯や山岳地域を餌を求めて徘徊しているリスクもあります。
1年を通してヒグマと遭遇するリスクがあるのでヒグマの生態や遭遇した時の対処方法及び撃退グッズを装備するべきです。
ヒグマ(羆)と遭遇したときの対処の仕方や対策
ヒグマと遭遇した時の対処方法ですが、これについては必ずこの対処や対策が正しいというものはありません。
よく言われる対策で、クマよけの鈴のように音を出しながらの行動もヒグマに餌と認識されている場合には逆効果になることもありえます。
ここで解説するヒグマ対策や対処方法も一般的に効果があるとされているものです。
まず、ヒグマとの距離がある時には慌てて騒ぎ立てる事無く静かにその場を立ち去ります。
距離が近い時には熊を睨みつけて目を逸らさないと共に背中を向ける事無く後退りでその場を離れます。
その際、持っている荷物を静かに放置する事で熊の注意をそらします。
人間は、突発的な窮地に追い込まれると騒ぎ立てて背を向けていち早く逃げてしまう傾向にあります。
ヒグマは、突発的な遭遇でも追走の末に攻撃を加える時でも一撃で仕留める為に頭部や顔を前足で狙ってきます。
また、ヒグマ(羆)は時速56キロメートルほどで走ることができます。
人類最速の男、ウサイン・ボルトでさえ時速にすると約44キロ程度ですのでいかにヒグマが早いかわかるかと思います。
ヒグマに追いつかれたときの対処の仕方としては、頭部や顔を防御して少しでもダメージを軽減する必要があります。
なお、撃退グッズにはヒグマ撃退スプレーや熊よけ爆音電子銃や携帯式電気柵などがあります。
唐辛子の成分であるカプサイシンを主成分とするスプレーがほとんどです。
ヒグマ撃退スプレーには、米国モンタナ大学のグリズリーベア研究チームによって開発されたカウンターアソールトやガードアラスカ及びベア―アタックなど様々な種類があります。
ヒグマ撃退スプレーは、遭遇した熊の目と鼻に向かってスプレー缶の全量を放出する撃退グッズです。
そのため、素早く取り出せる様に専用ホルスターとセットで販売されているケースが多くあります。
入手するときには、成分と射程距離を合わせて検討すべきヒグマ撃退グッズです。
また、日本には北海道に棲息するヒグマのほかに本州以南に棲息するツキノワグマがいます。
こちらは、ツキノワグマ専用の撃退スプレーとなります。
トレッキングや山菜摘みの際には、熊よけとして鈴やホイッスルを鳴らしながら進むと共に爆竹やロケット花火で自分の存在を知らしめて遭遇を回避します。
また、熊よけのために約120dBの爆音が何度でも発生させる事が出来き、SOS緊急音を継続発動する事も出来るグッズもあります。
携帯式電気柵のようなグッズもあり、こちらは高電圧の微弱電流を発生させる携帯用のネットの様な電気柵です。
テントの周囲に設置する事で熊を撃退する効果が期待出来る撃退グッズです。
先にも書きましたが、これらの熊対策グッズが必ず身を守ると思わず過信もしないことです。
野生のヒグマ(羆)には絶対エサをあたえない
野生のヒグマと遭遇した時には餌をあたえてはいけない!
一番怖いのは、野生のヒグマが人によって餌付けされることです。
ヒグマは、餌付けされると人に慣れてしまう恐れがあります。
こうなると普段は人を避けて行動するヒグマも人を警戒せず近寄ってくる可能性もあります。
車や人が通る道にまで出てくるようになります。
このとき、注意することは、けっしてヒグマに餌(えさ)を与えないことです。
ヒグマ(羆)と知床横断道路で遭遇した時の体験動画
ヒグマ(羆)と北海道の知床半島の羅臼町と斜里町ウトロを結ぶ知床横断道路でヒグマと遭遇した時の体験動画です。
下の動画は、羅臼港に入港した時に仕事の合間を見て知床横断道路をドライブした時のものです。
ヒグマは、知床横断道路のような人や車が通る道にまでちょくちょく出てくるようになりました。
人間に餌を与えられるとその味と手軽に食料が手に入ることを覚えてしまい何度も出没します。
その結果、人間に警戒心が無くなったヒグマは、人里まで近づき民家やゴミ箱まであさることもあります。
人間に餌を与えられるとその味と手軽に食料が手に入ることを覚えてしまいます。
この動画の撮影時もヒグマが車の前の道路を横断中だったため横断し終わるまで停車していました。
動画には映っていませんが車の前方約50メートル先の道路を最後の一頭が横断している最中でした。
最後に横断したヒグマは、少し離れていたので家族かどうかは不明です。
この最後のヒグマが横断後、速やかに発進してその場を離れました。
ヒグマ(羆)の北海道の事件|まとめ
ヒグマについてのまとめとしては、襲う理由が人間を食べるためや気が立っている為だけで無いです。
自分の獲物を奪われたときや、子熊を襲う雄熊を警戒している事から人間が邪魔で襲う事があります。
過去には、知床でもヒグマが民家に出没して暴れる事件が発生しています。
現在では羆に対する基礎知識やヒグマ撃退スプレー等の撃退グッズも普及しています。
これにより、北海道でのヒグマによる凄惨な事件や事故は減少しているのが現状です。
ヒグマ(羆)についてつけたすこととしては、人間との遭遇を避ける動物です。
基本的に人間を餌と思い襲う事はレアなケースです。
ただし、人間の味を覚えた個体や人間との接触に慣れた個体は熊の常識的な生態を逸脱して人を襲うケースが実際に発生しています。
熊に対する備えとセオリーに従うだけで無く、ヒグマとの遭遇を避ける対策をとることです。
コメント