カマキリが高い位置に卵を産む年は雪が多いかの実体験
カマキリが卵を産む巣の位置の高さによって積雪量が分かるという言い伝えがあります。
この言い伝えですが、降雪量が多い地方ほどよく聞きますね。
そこでカマキリの卵のある位置の高さと積雪量を3年続けて調べていたことがありました。
カマキリは秋の季節に草や木の幹に登って卵を産み付けるのが習性です。
この詰まっているもののことを卵鞘(らんしょう)といいます。
その年の積雪量を本能的に感じ取り降雪が多くなると思われる季節には雪で窒息する事態を避ける。
そのため高い位置(場所)に産むのではないかと考えられています。
幸い、私の住む地域も雪が多いので早速実験してみることにしました。
その時の実体験を元に書いていきますね。
まず、この言い伝えや噂と思われる問題はカマキリが卵を産む位置と実際の積雪量を比較して検証することです。
結論から言うと、実体験した結果として言い伝えは信憑性があるのではと思いました。
私が観察した結果は以下です。高い位置に産み付けたケースで本当に積雪量が多いという結果に至っています。
ただし、卵鞘(らんしょう)の観測地点が山間部にある場合はそこを考慮する必要があります。
平坦な土地との差を考慮して観測の補正を掛ける必要があることもわかりました。
ただし、これには地形や林相という森林の形態の影響が発生してきます。
また、調べる期間も3年(3シーズン)と少ないです。
そのためデーター不足となることも考慮するとこれが正解という簡単なものでもないようです。
そう考えるとカマキリが卵を産み付けた場所が高い位置の場合はどうか?
それにより雪が多く降るという単純に結論が導き出せるものでもないようです。
カマキリが卵を産む位置の測り方の補正方法
有効と考えられる補正方法は、吹きさらしや吹き溜まりが発生する場合と樹木の高さや地形に合わせた方法などです。
また、調べてみると私の実体験と同じ実験が初めて検証されたことが20年ほど前にもあったようです。
実験は昔のことなので近年では否定的な意見も少なくないといえます。
反対意見としてはカマキリが窒息を避ける為に積雪量を予測する。
これが正しければ、最初から高い位置を選ぶはずだというものです。
最初から高い位置を選べば、わざわざ雪の量を予測する必要はありません。
その年によって産む高さを変える必要もないというのが理由です。
後の調査では、雪に弱かったり窒息するというのは間違いでした。
仮に雪に埋もれていても問題なく孵化(ふか)することが分かっています。
一方では水にも強く、0℃以上の水温ならほぼ命を落とす恐れは低いです。
なので水溜りを避けているといった理由も当てはまらないでしょう。
そして何よりカマキリが皆、同じ位置に卵を産み付けるのではないことです。
バラバラの高さに産み付けているので言い伝えの信憑性は益々低下しています。
たとえばナマズの地震予知のように動物が自然を予測して行動を変える。
それはとてもロマンがある話です。
ですが本当のところは人間の思い込みによる部分が大きいようです。
しかし、各地で同様の言い伝えが広まっている。
このことから全く無関係とも断言できませんね。
本能である程度予測をしていてもおかしくはないはずです。
今のところは否定されています。
しかし、今後覆らないとも限らないので言い伝えはそのままに参考にしてみるのもありです。
大切なのは、これまでこのような噂が長く受け継がれてきたことです。
それに少なからず信憑性がある点です。
カマキリが卵を産む時期
カマキリが産卵するとされる時期は一般的に秋となります。
この寒さが到来する10月頃からメスが卵を産み始めます。
基本的には、高い場所に登って逆さになり、お尻から白い粘液を出して産む準備を行います。
お腹を使ってこの粘液を泡立て、その中に約200個ほどを産み付ける形となっています。
白く泡立った粘液事態のことを卵鞘(らんしょう)と呼びます。
これを何時間もの時間を掛けて念入りに準備をするというわけです。
寒い冬に備えて準備を行うのです。
ですから時間が掛るのは当然のことだといえるでしょうね。
実際の時期は、その年の気温の変化に左右されます。
そのため早ければ9月の下旬頃には産む準備が開始されます。
カマキリは本格的に寒くなる1ヶ月前を目安に産むので季節の変わり目を知るヒントになります。
また、地域によっても気温が下がるタイミングは異なります。
そのため、比較的暖かい地域だとだと11月の下旬まで産卵の時期が続きます。
カマキリは産卵後に越冬する
卵を産むという大仕事を終えたメスのカマキリは後のその場を離れやがて死んでしまいます。
暫くは飛べる体力が残りますが、かなり体力を使い果たしています。
そのため急に冷え込むと寒さに耐えられなくなり動けなくなってしまいます。
ただ、どの程度生きられるかなどはカマキリ次第です。
運が良ければ2回、3回とまだ産卵する力が残っているケースもあります。
これまでの記録では、最大で5回ほど卵を産んだケースも確認されています。
このように人間が思っている以上に強く生きていると考えられます。
それでも、カマキリは冬の時期を越えては生きられなく大半は11月中に力尽きてしまうでしょう。
これは安定的にエサが確保できなくなるという自然の厳しさも影響しているポイントです。
カマキリの餌についてですが、何を捕食しているのかにつて説明します。
ほとんどは、同じ昆虫であるバッタや蝶などです。
このような自分より弱いと思われるものを捕獲して食べることが多いです。
このため、野生のカマキリは、冬になるとこれらの昆虫もいなくなるのが原因で力尽きます。
なお、自分が捕獲出来ると認識した生き物なら虫でなくても蜂、カエル、鳥、ネズミも食べます。
蜂については、なんとあの凶暴なスズメバチでさえ捕まえて餌としてしまいます。
ただし、これは必ずスズメバチが餌となるのではないです。
反対にカマキリが餌となる場合もことも多いです。
バッタについては下記のページで書いてみましたので参考にしてみてくださいね。
また、スズメガの幼虫なども見つけると捕獲して食べます。
スズメガの天敵にについては、下記のページで詳しく紹介しています。
反対に自宅など比較的暖かい場所で飼育する場合はエサと日当たり次第で冬の間も生きられます。
自然環境で生きることすらままならないので流石に飼育環境でも産卵までは難しいです。
それでも1月頃までなら生き延びれる可能性は高まります。
つまり、いつ頃になると木に産み付けるのかと問われれば秋が本格化して冬を目前に控えた季節と答えることができます。
具体的には9月頃から10月には始まって11月頃まで粘るケースもあるのが特徴的です。
寒さが本格化する1ヶ月ほど前に行動に移すイメージとなります。
春が到来すると孵化が始まります。
そのため、暖かくなるまで無事に冬を越えられるように早めの段階で十分な準備に入る様子です。
カマキリが卵を産む場所
カマキリが卵を産むのは、雪や水の影響が避けられる高い場所が原則です。
ところが、あまり上の方までは登れません。
そう高いところには産み付けられないものです。
一見同じように思えても、実は種類によって産む対象が違っています。
場所により種類を見分けたり、卵が探せるようになっています。
オオカマキリが卵を産む場所
いわゆるオオカマキリは、枝や枯れている稲といった植物を選びます。
そして、茎の部分に産み付けるのが特徴です。
稲刈りを終えたところに表れることで知られます。
そのため、水田を中心に見付けられる可能性が高いですよ。
コカマキリが卵を産む場所
一方のコカマキリは、幹を始めとした木を好む習性を持っています。
このため、倒木や板などの裏に発見できる場合があります。
高さは低い場所を好み、強度のある木を選んで卵を産みます。
そのため足元に落ちている板を裏返すと卵が出てくるというようなことも珍しくないです。
チョウセンカマキリが卵を産む場所
チョウセンカマキリは小枝を好むのが習性があります。
周囲に畑がある人家で見付けられるケースも一般的です。
植木の小枝や枯れ草の茎に産み付けます。
これが特徴的で他のカマキリの種類との違いです。
ハラビロカマキリが卵を産む場所
木や植物といった共通点が各種類にはあります。
ハラビロカマキリもまた同様の特徴を持っています。
卵を産むのは木の枝や幹なので庭に生える木に産み付けられてしまった。
このような経験がある人も思いの外少なくないです。
基本的には木を選びますが建物の壁や電柱を選んで産み付けるケースもあります。
それほど場所を選ばなかったり変わったところを好む習性が窺えます。
カマキリが卵を産む場所の共通点
このように産む対象やポジションには共通点があります。
大抵の場合は人が生活する範囲内で選ばれます。
身近では家の庭や住宅の壁面、放置してある木材や家の木の部分などです。
更に庭だけでなく田んぼや畑の収穫後も絶好の環境です。
カマキリは、こういったところを好んで卵が産み付けられます。
あまり広い空間は必要ありませんし雨風や雪がしのげれば良いわけです。
これらのことさへ揃えば、案外何処でも条件次第でベストな環境になると思われます。
皆、自らの大仕事に備えて最適な場所を選び本格的な作業へと入る感じです。
高いところを選ばない理由は、登る難易度による部分も確かに少なくないです。
しかし人や天敵に見付かりにくくする目的もあるので合理的な選択だと考えることができます。
カマキリの卵の特徴
卵は、メスが粘液から作り出した卵鞘に包み春の孵化を待つのが特徴となっています。
これは今後到来する寒さであったり雨や雪などから守るのが目的で作られます。
全体を覆い包む必要があるのでメスは数時間掛けて念入りに泡立てます。
そしてそこにカマキリは卵を産み付けるわけです。
泡は時間が経つと硬化するのも特徴です。
空気を含んだ泡がそのまま固まることからスポンジのように断熱性があります。
その一方で、同じく空気の泡を内包する構造を持つ発泡スチロールにも似ています。
また、梱包材と同じく衝撃吸収性もあります。
また、卵鞘は冬の寒さによる凍結を防いだり万が一の落下に備えてクッション性を持っています。
このように自然界が作り出す合理的なアイテムとなっています。
実際にその状況に遭遇することは稀ですが寒さに加えて熱にも強いです。
野焼きで辺りが焼け焦げたところでも生きた状態で発見されていたりもします。
その後、幼虫は生きて孵化しているので実に頑丈です。
厳しい環境下でも生き延びられることが分かりますね。
特徴といえば、産む場所だけでなく大きさや形状などもカマキリの種類によって違いがあります。
オオカマキリが作り出す卵鞘の特徴
オオカマキリが作り出す卵鞘は、直径4cmほどのやや角ばった球状のものです。
おにぎりほどではありませんが、それに近い形状をしています。
これは、日本人なら誰でも想像できますね。
コカマキリが作り出す卵鞘の特徴
コカマキリは逆に3cm位の小さなもので形は平べったく球状とは大きく異なります。
産み付ける場所もかなり異なりますが卵も種類によってだいぶ違います。
そういった特徴の違いも面白さを感じさせてくれますね。
チョウセンカマキリが作り出す卵鞘の特徴
チョウセンカマキリの場合は直径約4cmです。
細長い形に特徴があり果物のマンゴーを立てに割ったような形状をしています。
ハラビロカマキリが作り出す卵鞘の特徴
ハラビロカマキリは2cmから3cm程度です。
先端の少し尖った紡錘形をしている点が他の種類と見分けるポイントになります。
厚みがあって衝撃に強そうな上に冬でも暖かく感じられるような見た目をしています。
カマキリの卵鞘の役割
彼らにとっては卵鞘は大切な住処です。
産み付ける場所選びや様々な形状を持っている部分は多様性という意味で興味を惹き付けます。
秋になると外観に変化が現れてきます。
やがて少しずつカマキリの赤ちゃんが中から産まれでてきます。
最終的に何匹孵化するかは結果次第ですが最初は数匹ずつ出てくるのが普通でしょう。
やがて他のカマキリの赤ちゃんも目覚め次第、孵化するペースがアップして次々と外に出てくるはずです。
孵化の前と後では、卵の形状が大きく異なります。
初めてその様子を見る人にとってはインパクトがあります。
雪に関する観天望気の種類
自然現象を観察して天気を予測する観天望気はカマキリの卵の位置の高さ以外にも種類があります。
いかにも雨が降りそうな雨雲は、季節によって雪が降ることを知らせるヒントになります。
また、いく層も重なっている乱層雲も同様の天気に変わる可能性を教えてくれるでしょう。
この観天望気のポイントは、空一面が灰色に覆われ特に低い位置に雲が集中していることです。
また、カマキリの言い伝えにも似ているものもあります。
鳥が高いところに巣を作ると大雪が降るといった言い伝えも存在します。
分類的にはカマキリのケースと同種類で巣が埋もれるのを嫌って高い場所を選ぶのが共通点です。
しかし、信憑性も同程度です。
これだけで今後の天気を正確に占うのは困難です。
鳥の巣の観天望気では、短期的な予測よりも中長期的に的中しやすい。
そんな言い伝えが各地にあります。
鳥繋がりでは、鴨が早い時期に到来すると降雪も早まるという観天望気も要注目です。
渡り鳥の鴨は自然環境の変化を見て移動先やタイミングといったものを決めます。
このため、あながち間違いともいえないと考えられます。
勿論、これらは天気観測の技術が未発達で天気予報を自然の観察に頼っていた時代の名残です。
現代の予報と比べてどちらに信憑性があるかは一目瞭然ですね。
高い山の初雪が早い年は、例年程は降り積もらないとの観天望気があります。
そして諺(ことわざ)にもなっています。
これは、経験則に基づいているもので実際には気圧の変化が現象に現れます。
このような経験則が諺になっていても不思議ではないです。
冬を間近に控えた時期に短期間だけ飛ぶ雪虫は振り始めを知らせる虫として北国では有名です。
白く小さな見た目が特徴ですし、まるで本当に降っているかのように思わせるのです。
こうした言い伝えがあるのも頷(うなず)けます。
いずれにも共通するのは、それぞれ自然環境に影響されて起こる現象であることです。
こうした科学的な説得力を持ち合わせているような特徴があるところです。
実際は検証してみなければ分かりませんが最低でも古くから信じられているのは確かでしょう。
地域によっては今でも天気予報よりもこちらを信じたり、これからの天気を占うのに活用されていたりもします。
理由としては、現代においても天気予報が完璧なものではないためです。
このようなことからも経験則が活きる場面も少なくないことが挙げられます。
カマキリのケースにも同様の理由があります。
信じるかどうかは別問題として、いくつかの種類などを覚えておいても損はないはずです。
結び
カマキリが卵を産む高さによって確かに積雪量に変化があったということです。
高い位置にカマキリの卵鞘あるときには、確かに雪も多かったです。
ただし、この場合、調べた年数や、その土地の地形や林相などの影響もあるということです。
なお、動物の持つ本能や第六感的なものもあるかもしれません。
これらの言い伝えが長く受け継がれてきたの理由もあります。
また、それだけの信憑性もあったからではとも思います。
昔と比べると今は天気予報の的中率も格段に上がりました。
そのため、こちらを元に積雪量や気象状況を知るのが最も有効な手段ということは納得できます。
でも、このような昔からの言い伝えやことわざを元に天気を占うのもロマンがありますね。
あくまで、このような目的なので生活していく上で必要な気象状況は現在の天気予報に頼ることが賢明です。
結論は、現在の天気予報を利用するほうが正確だということですね。
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