ナミテントウの幼虫は害虫、益虫?食べる虫と生態や斑紋の特徴、変化!

昆虫

ナミテントウの幼虫は害虫か益虫か

 

ナミテントウは知名度が高いてんとう虫ですが、その幼虫を思い描ける方は少数なのではないでしょうか。

 

黄色い卵から生まれた幼虫黒っぽい色合いをした虫です。

 

成虫とは似ても似つかない姿をしています。

 

ナミテントウ幼虫

 

認知度の低いこの幼虫時代の分類が害虫なのか益虫なのか?

 

こうなると更に知っている人数は限られるはずです。

 

実はこのナミテントウは成虫でも幼虫でもアブラムシを餌にしています。

 

そのため、この点が理由で益虫とされています。

 

アブラムシ

 

アブラムシはよく色々な植物に群がっている小さな虫です。

 

この虫は、茎に針を刺して植物の栄養となる樹液を吸い取ってしまいます。

 

生育遅延や葉っぱの萎縮を引き起こしたりといった被害をもたらす害虫です。

 

本体の生活が悪影響を及ぼすだけでなく植物に感染するウイルスを媒介したりもします。

 

農業やガーデニングにおいては決して軽視できない昆虫ですね。

 

なのでそのアブラムシの天敵の一つとされるのがテントウムシとなります。

 

ナミテントウは農薬など薬剤を使わずにアブラムシ駆除を叶えてくれる益虫と見なされるのです。

 

このような目的のために農業ではテントウムシの活用は昔から広く行われておりました。

 

しかし餌となるアブラムシが少なくなるとどこかへ飛んで行ってしまうのが活用上の問題点でした。

 

ナミテントウの越冬

 

最近では品種改良を重ねて飛べなくなったテントウムシを作成して使っています。

 

勿論、われわれ人間が益虫としているのはこの点からです。

 

ただし、植物を食べる種類のテントウムシもいてそちらは害虫に分類されます。

 

またナミテントウ自身も成虫は固まって越冬する性質があります。

 

この見た目が気持ち悪いとして害虫分類されることもあります。

 

このようにその人の助けになる場合、その虫は益虫となり被害を受けたり不快に感じるようなら害虫ともいえます。

 

スズメガ幼虫

 

たとえばスズメガの幼虫のように毒性がまったく無い大人しい虫でも、そのグロテスクな見た目を不快に感じ駆除の対象とする人にとっては害虫です

 

その反対に、中にはこの幼虫が好きという人もいて飼ってたりした場合などもあります。

 

このケースだと、その人にとっては害虫とは言えませんね。

 

スズメガの幼虫については下記の記事で詳しく書いてみましたので参考にしてみてくださいね。

 

 

そこから何か得るものがあれば、その人にとってはもしかしたら益虫となるかもしれませんね。

 

ナミテントウの幼虫が食べる虫

 

卵から孵ったナミテントウの幼虫がまず食べるのは、自分が出て来たばかりの卵の殻です。

 

ナミテントウは卵からふ化してからの全ての時期を通して肉食でアブラムシやカイガラムシなどが好物です。

 

この時期はとても旺盛な食欲をみせ周囲のアブラムシやカイガラムシを次々と捕食していきます。

 

アブラムシを食べるナミテントウの幼虫

 

なんとナミテントウの幼虫一匹で1日で20匹ほどを食べる大食漢なんです。

 

しかしナミテントウが食べるのはこれら害虫だけではありません。

 

エサが少ないころであったりすると、ふ化したばかりの幼虫は時に共食いをします。

 

このように共食いという行為をするほどの旺盛な食欲を持っています。

 

これが、アブラムシなどの退治がいかにスピーディーに行われるのかを物語っていますね。

 

しかし、成虫になると共食いはほとんどしなくなります。

 

アブラムシの特徴

アブラムシは日本に広く分布し群れで茎に張り付いて植物の栄養を吸い取ってしまいます。

 

更にはウイルスをまき散らすために園芸業界や農業において忌み嫌われています。

 

小さな体ですので、どこからともなく飛来して寄生します。

 

 

樹液を吸うことで植物自身を枯らすことは殆どありません。ただし、弱らせて枯れやすくはさせてしまいます。

 

またアブラムシのついた植物は新芽や葉っぱが歪んでしまいます。さらには、果実の色合いや育ちが悪くなったりします。

 

当然ながらそうなった部位の葉っぱや実は売り物にはなりません。

 

タカ
タカ

さらに、そこで媒介するウイルスも問題となります。

 

例えばキュウリモザイクウイルスなどが有名で時に壊滅的な被害を与えることもあります。

 

植物が感染するウイルスは600種類程度が知られています。

 

しかし、その半数は虫が媒介すると言われます。そしてその媒介者の半数以上がなんとアブラムシなのです。

 

ナミテントウの幼虫の生態

 

ナミテントウの幼虫の活動時期は3月から11月にかけてです。

 

しかし成虫は冬に集団で越冬するため、時に民家の壁の下や雨戸の裏側などで固まっている所を発見されます。

 

これが気持ち悪がられて害虫扱いされることもあります。

 

ナミテントウの幼虫

 

活動時期は先述した通りですが、それには理由もあります。

 

7月から9月頃の夏の盛りの時期には餌であるアブラムシが減るためです。

 

そのため活動を低下させるので見かけることが減ります。

 

これは夏眠と言って冬眠同様に隠れて眠って体力を消耗しないようにしているのです。

 

20個から40個ほどの黄色い卵をアブラムシの多い植物の葉っぱの裏に産みつけます。

 

卵から孵った(かえった)幼虫は黒っぽい体に黄色い斑点があります。

 

さらに、いがいがしたとげも持っていて、あまり可愛くない姿をしています。

 

タカ
タカ

この見た目からテントウムシを連想することはちょっと難しいですね。

 

次に周囲のアブラムシカイガラムシなどをたくさん食べて、ときには共食いまでもして成長します。

 

下の写真は、ヒモワタカイガラムシです。

 

ヒモワタカイガラムシ

 

また幼虫も成虫もナミテントウは捕まえようとすると死んだふりをします。

 

なお、先に孵って成長していたさなぎを食べてしまったりすることがあります。

 

この写真は、上がナミテントウので下にいるのが幼虫です。

 

ナミテントウの幼虫と蛹

 

しばらくの間、このような幼虫時代を過ごした後は、さなぎになります。

 

これも敵に見つかりにくい餌の豊富な植物の葉っぱの裏側が選ばれることが多いです。

さなぎになる前の幼虫は白っぽい体になり全体的な色素が薄れています。

また動きも少なくなってくるため、そのような個体を見つけたらじきに羽化する可能性が高いです。

 

卵から成虫になるまでは、おおよそ1か月ほどです。

 

この間、三回脱皮した後に時期が来るとさなぎになって羽化します。

 

ふ化した直後は黒くて小さかった見た目ですが、脱皮を繰り返すごとに大きくなります。

 

このときにオレンジや黄色の模様も出現してきます。

 

 

羽化する直前の段階では幼虫は白っぽい外見となり色素の薄れた色合いに変化しています。

 

また殆ど動かなくなり、じっとしていることが多くなります。

 

そうしているうちにさなぎとなり、成虫になるために変態が始まります。

 

さなぎでいる期間はおおよそ一週間ほどです。

 

そして成虫になったナミテントウの寿命は2か月ほどとなります。

 

この虫は非常に速いサイクルで世代交代を行うという生態を持っているのです。

ナミテントウの幼虫の斑紋の特徴

ナミテントウの幼虫は、黒い体に黄色い斑点を持っているのが特徴です。

 

ナミテントウの子供

 

これは全体的に見ても基本的に共通しており成虫になった際の模様とはあまり関連が無いようです。

 

しかしふ化してみると幼虫時代に黄色だった場所が成虫の羽では黒っぽくなっていたりします。

ナミテントウの幼虫の斑紋の変化

ナミテントウの幼虫はとげとげした、いかにも虫の幼虫であるという気持ちの悪い外見をしています。

 

 

黒地に黄色い斑点は、まるでを持っているかのように錯覚させます。

 

これがあのバリエーション豊かなテントウムシの模様になるとは、この時点ではあまり想像ができません。

 

卵はアブラムシなどエサがたくさんついた植物の葉っぱの裏側に産み付けられます。

 

卵は鮮やかな黄色をしていて数日で黒っぽくなり、ふ化していきます。

 

ナミテントウの特徴

 

ナミテントウがあの特徴的な色合いと斑点を有しているの二は理由があります。

 

毒があるように見せかけて鳥を寄せ付けない警戒色という理由からです。

 

この色合いは自然界ではポピュラーですが模様のバリエーションではかなり上位に位置します。

 

 

そして体液に臭い黄色い液体を持っていてピンチが迫ると噴出します。

 

独特な臭いと苦みを持っているのでアリなどの敵を追い払うことに活用されます。

 

油断したところで先述の臭い液体をかけてくるので、可愛い見た目に反して戦術は、なかなかに強烈です。

 

また、ナミテントウは鮮やかな色合いと可愛らしい見た目で一部縁起物としても扱われています。

 

西洋では、マリア様の被り物に形が似ていることから信仰の対象にすらなってきました。

 

どんな模様が表れるのか羽化のタイミングに運よく立ち会うことができたときです。

 

それらを想像して眺めて待っているのも素敵な時間かもしれませんね。

ナミテントウは益虫か害虫か

アブラムシに巣くわれた植物でも、ひとたびテントウムシが近くに来ると数日でほとんどが駆除されます。

 

ナミテントウとアブラムシ

 

またカイガラムシというカメムシの仲間も好んで食べます。

 

これも同様に植物の樹液を吸ってしまう害虫ですので農薬いらずの駆除方法として喜ばれています。

 

その代わりに、あらかた害虫を食べつくしたあたりでどこかへ飛んで行ってしまうようになります。

 

これはアブラムシ退治を任せたい農業側からすると長年の困った習性です。

 

農薬

 

なんとかして長く居続けてほしいと願われていました。

 

近年では飛翔能力の低いものを掛け合わせるという品種改良も重ねられています。

 

結果、飛べないナミテントウを作り出すことに成功し実際に実用化されて販売されています。

 

こちらは、その飼育方法のマニュアルも一緒に購入できます。

 

扱いの難しい農薬よりは安全性が高いです。

 

初心者でも安心して試すことができる防除方法となっています。

ナミテントウの色と斑点

主に色合いは暖色で黄色から濃いオレンジや赤などと様々です。

 

斑点は多いものでは19個あるものから斑点を持たない種類もいます。

 

間違われやすいのですが、ナナホシテントウとは別の種類の虫です。

 

下の写真がナナホシテントウでこのようによく似ています。

 

 

なので斑点が7つであるもの全てがナナホシテントウという訳ではありません。

 

同じ種類にも関わらず見た目の違うものも多いです。

 

また、似たような虫も多いため、よく他の種に間違われてしまいがちです。

ナミテントウの斑紋の型

やがて羽には黒であったり赤であったりといった斑紋が表れてきます。

 

斑紋はメジャーなものとしては二つの斑点を持つ二紋型と四つの四門型があります。

 

下の写真は、ナミテントウの二紋型です。

 

ナミテントウの二紋型

 

たくさん散っている斑紋型も数多く存在します。

 

最も多いとされるのは北海道などで確認される十九門型という種類が知られています。

 

模様の決定は遺伝的な組み合わせで行われるため遺伝子の分布によって地域差が生まれているのです。

 

いずれにせよ幼い頃からはかけ離れた装いを手に入れるのは、この昆虫の大きな魅力でしょう。

 

幼虫の段階で確実に将来の模様を推測することは難しいとされています。

 

さなぎから羽化して、時間経過とともに浮かび上がる紋様は自然の神秘のひとつと言っても過言ではないでしょう。

ナミテントウの斑紋の模様

ナミテントウの一番大きな外見的な魅力は、やはりそのバリエーション豊かな模様でしょう。

 

ナナホシテントウがほぼ一定の模様を有しているのに対して、ナミテントウは同じ種類でも実に様々な見た目をしています。

 

ここまで豊かな模様を持っている種類は虫の中でも珍しいのです。

 

ナミテントウの模様は斑紋と呼ばれ、これらを決めているのは遺伝子です。

 

遺伝子

 

実は人間でいうところのABO血液型遺伝子と同じようなものです。

 

4種類の遺伝子が優劣をそれぞれに持っており、それらの組み合わせで模様が発現しています。

 

また血液型のRh-のような特殊な遺伝子もたくさん存在しています。

 

そのため、時折珍しい模様の個体が生まれることもあります。

 

遺伝子は下地と模様を決定するそれぞれ2種類が、それぞれの親から受け継がれます。

ナミテントウの斑紋の種類

大まかに分けて、模様は4種類に分類ができます。まずは赤い下地に黒い斑点がたくさんあるものを紅型と呼びます。

 

 

次に黒地に斑点が2つあるものを二紋型と呼び、4つあるものは四紋型と呼ばれます。

 

 

最後に黒地にたくさんの紅い斑点が散っているものが斑紋型として分類されます。

 

 

二が一番優勢で、続いて四と斑があり、最後に紅の順で遺伝的な強さが並んでいます。

 

これら4種類の遺伝子のいずれか2つをテントウムシは持っています。

 

相手の遺伝子の組み合わせ次第で模様が決定されるのです。

 

その中で斑点の大きさが小さい物や歪んだ物もあります。

 

時には斑紋を持たないつるりとした下地だけの虫もいます。

ナミテントウの羽

羽化したばかりのナミテントウの羽は鮮やかな黄色をしていて、この時点でも斑紋は確認は不可能です。

 

ナミテントウの羽

 

時間が経過するにつれて黄色一色であった羽に変化が見られはじめます。

 

緩やかに色がついてきて、あの見慣れた模様が浮き上がってくるのです。

 

その下地は赤や黄色から黒までと幅広い色合いを持っています。

ナミテントウの最も珍しい組み合わせ

それぞれ小型や変形、紋無しとの名前がついており更なるバリエーションをもたらしています。

 

もし遺伝的な分布が一定であると仮定したとするとどうなるのでしょう。

 

最も珍しい組み合わせとなるのは確率的には紅型で斑なものということになります。

 

しかし日本に広く分布しているのがテントウムシです。しかし、模様においては地域差もあります。

 

 

西日本でよくみられるタイプや、どこでも稀なものもあります。

 

またはどっちつかずの中間ともとれるタイプも存在します。

 

もしも見かけてみた際には、模様の観察をしてみてはいかがでしょうか。

 

ひょっとすると珍しいタイプに巡り会うことができるかもしれません。

 

ナミテントウの由来

 

ナミテントウのことを冒頭に漢字で並天道と書きますといいました。

 

ですが、この天道とは太陽の事です。

 

空を飛ぶときにより高い場所に上ってから飛び立ちます。

 

 

それはまるで太陽を目指しているかのように見えたことが由来です。

 

中国や朝鮮半島、それと日本に広く分布しており、バリエーション豊かな色と斑点を持つのが特徴です。

 

ナミテントウを探したいときはアブラムシのついた植物を探すのが手っ取り早いとすら言われます。

 

そのため葉っぱを振るとアブラムシと一緒にポロポロと落ちてくることが多いのです。

 

ナミテントウの幼虫は害虫、益虫|結び

 

ナミテントウの幼虫は、害虫なのか益虫なのかについても成虫と同じアブラムシを食べる益虫ということでしたね。

 

その食欲の旺盛さも一日に約20匹も平らげてしまう大食漢には驚きです。

 

このため農家では、ナミテントウはとても大切な虫です。

 

遺伝子操作による品種の改良まで行われていましたね。

 

生態や斑紋の特徴、変化についても斑紋にもいろいろな型があり色も様々でしたね。

 

もし、ナミテントウやその幼虫を見かけるチャンスがありましたら今日の記事を思い出して観察して見てくださいね。

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