カモメとウミネコの違い
カモメとウミネコはどちらもチドリ目カモメ科の鳥であり非常に似通った特徴をしています。
しかし、それぞれ違った生活圏や生態を持っていて区別されています。
そのため、違いを把握していれば上空を飛んでいる鳥がカモメなのかウミネコなのかを判別できます。
その生態からの違いや見分け方、区別の仕方を紹介していきますね。
その代表的な違いの一つが生息地と越冬の方法です。
カモメの生態
カモメは渡り鳥で、港や海岸、河口などに渡来します。
私の地元で目にするカモメは全長45cmくらいで平均的なサイズです。
両方の翼を伸ばし広げたとき左右の端から端まで約120cmになります。
カモメは世界中に分布している鳥で確認されているだけでも40種ほどいます。
しかしすべての個体が日本に一年中いるわけではありません。
夏季はユーラシア大陸の北部やカナダ、アラスカなどに生息しています。
冬季にはヨーロッパやアフリカ北部、ペルシャ湾岸、アメリカ、日本周辺や中国東部と幅広く分布しているのが特徴です。
越冬のため秋から冬にかけて日本全国に飛来し春夏には繁殖のため日本を離れます。
ただし繁殖しない若いカモメは日本に残ることもあり季節に関係なく目にすることも出来ます。
雑食性であり魚や海辺に打ちあがった動物の死骸などなんでも食べます。
人間の落としていった食べ物を口にすることもあるでしょう。
4月から7月の繁殖期になると沿岸部の岩礁や砂丘などに集団繁殖地を形成します。
一夫一妻で1回に2個から3個の卵を産みオスとメスが2、3時間おきに抱卵しヒナの養育も行います。
卵は25日ほどで孵化(ふか)し45日ほどで巣立ちを迎えます。
ウミネコの生態
ウミネコは沿岸部や河口だけでなく内陸でも生活します。
1年中群れで生活し岩礁や沿岸、干潟や河口に多く生息しています。
ウミネコも、私の地元で見かけるものは全長45~50㎝ほどで平均的サイズです。
こちらも翼を伸ばすと130㎝ほどになりカモメより一回り大きいです。
また留鳥といって日本で周年確認することが出来る種類の鳥です。
主にオホーツク海、日本海、千島列島全域や日本列島の太平洋沿に分布しています。
冬になると越冬のために中国大陸沿岸や台湾などにまで移動します。
また、日本には集団繁殖地が10個ほどあり年間を通して確認できるのが大きな特徴です。
なお、北海道や本州北部の寒い地域に生息する個体は、冬になると南下する傾向が見られます。
食性は、雑食性であり、この点はカモメと大きな違いはありません。
魚や昆虫や両生類、その他動物の死骸などを食べています。
他の鳥が捕らえた獲物を横取りすることもあるようです。
繁殖期になるとこちらも露地や岩礁、草の生えた沿岸の無人島などにコロニーと呼ばれる集団営巣地をつくります。
そこで木の枝や草、海藻などを組み合わせた皿上の巣を作って1回に2個から3個の卵を産みます。
ウミネコが半島や無人島の岩礁や断崖絶壁がある場所で繁殖することが多いです。
この理由は、キツネなどの天敵に襲われにくく営巣地の近くでは餌となる魚が豊富にとれるからです。
またウミネコの繁殖地は日本とその近海に限られるため天然記念物に指定されている場所もあります。
世界一のコロニーである蕪島(かぶしま)も繁殖地もそのひとつです。
3月から8月頃になると約3万羽から4万羽のウミネコで島がいっぱいになります。
飛来しウミネコがここで子供の世話をしていきます。
ここは、唯一ウミネコの営巣を観察できる場所としても知られています。
このような生態の違いから春から夏にかけて日本の近海で確認できる個体はウミネコである可能性が高いです。
カモメといえば夏に海の上を飛んでいるイメージを持たれる方も多いはずです。
ですが実際にはウミネコであることが多いです。
カモメやウミネコの塩類腺って何?
カモメやウミネコは海水を飲んでいるため余分な塩分を鼻のそばにある塩類腺からだしています。
これは海に生息する鳥類に多く見られます。
カモメやウミネコは、海水から水分を補給しています。
そのまま体内に大量に飲むと他の生物同様カモメやウミネコも生きていけないです。
そのため塩類腺から海水を排出しています。
因みに我が家の屋根にもとうとうカモメに巣を作られてしまいました。
また塩類腺から流れる塩分濃度の高い水分や糞にも塩分が含まれているためかけられると屋根が錆びます。
カモメとウミネコの鳴き声の違いによる簡単な見分け方
カモメとウミネコの見分け方に鳴き声もあります。
この2種類の鳥はどちらも海の近くに生息し日本では馴染みの深い鳥です。
海の近くに住んでいたり海に遊びに行ったりした時に鳴き声もよく耳にすることが出来ます。
ウミネコは「ミャーミャー」という鳴き声が猫に似ていることがその名前の由来です。
なお、カモメ属の鳥はウミネコに限らず、鳴き声が猫に似ているものが多くいます。
しかしカモメとウミネコでは鳴き声にはそれぞれ違いがあります。
まず、カモメの場合ですが、カラスの鳴き方によく似た声も出します。
ただしカラスよりもっと甲高く伸びやかな声をしています。
カラスについては下記のページに詳しい紹介を載せてみましたので参考にしてくださいね。
海辺などでカモメを見かけたらよく耳を澄まして聞くとその違いがわかる鳥の声です。
群れになって旋回しながら飛び、「クゥー、クゥー」と高らかに鳴きます。
ちなみに鳴き声も入っています。
カモメと聞いてほとんどの人が連想するのがこの声ですね。
生活圏に海がない人でも一度は聞いたことのある声ではないでしょうか。
地面に降りた時などは喉の奥から出すような「グヮッ、グワッ」という短い鳴き方もします。
そのような声もおそらく大半の人が聞き覚えがあると思います。
アヒルにも似ていますが、やはり少し軽やかな印象があります。
ウミネコもカモメと同様に、飛んでいる時は、伸びやかな声を発します。
違いとしてはカモメのように長く尾を引くような響く声ではありません。
どちらかというとカラスよりもう少し軽快で短い鳴き方をします。
繁殖期には威嚇のためもっと低い声を出す場合もあるようです。
そしてやはり地面に降りたりどこかで羽を休めている時はアヒルのような短い鳴き方をします。
この声は、カモメと聞き分けようとしてもさほど大差はないです。
見た目でわかる特徴とは違い声での見分け方は何度か実際に聞いてみる必要があるでしょう。
しかしどちらも目にする機会が非常に多い鳥であり群れになって絶え間なく鳴いていることもよくあります。
何度か聞くことが出来れば、どちらの種類が鳴いているのか判別できるようになってきます。
カモメとウミネコの足の色の違いによる簡単な見分け方
その他に、見た目の特徴でも両者を簡単に区別できます。
カモメもウミネコも遠目には良く似た姿をしていますね。
時には2つ以上の種類のカモメの仲間が混ざり合って群れを形成します。
しかしどの種類も他の種類とは違う特徴を持っており知識があれば見分けることが出来ます。
身体の特徴はそれぞれの種類で見分ける部分が異なります。
この2種類の鳥の見分け方のひとつとしては、足の色の違いを見ることでしょう。
形や長さにもこれといった大差はありません。
足を見ただけではカモメなのかウミネコなのか判断するのは難しいでしょう。
しかし、よく観察することが出来れば、その違いがわかります。
ウミネコの足は黄色と言っても少し赤みがあり薄いオレンジのような色合いをしている種もあります。
赤みが少ない場合でも非常にはっきりとした色をしていて身体の白に対して足の黄色が目にも鮮やかです。
個体によってはかなり濃い色をしている場合もあるようです。
カモメの仲間の中には、稀にウミネコよりもより濃いオレンジや赤い足をした種類もいます。
見た目の特徴もよく似ていますので、それらと混同しないよう注意が必要です。
それに対してカモメの足は、少し白っぽい黄色をしておりウミネコに比べると色合いが薄い印象です。
こちらも個体差がありますが、写真で見比べてみるとカモメの中にはほとんど白い色をしているものも見られます。
その点、ウミネコの方は、よりくっきりと足の色が見えます。
逆にカモメの方は暗闇ならば足がぼやけて見えるかも知れませんね。
他の身体の特徴での判別が難しい場合は、足の色が濃いか薄いかを参考にしてみてください。
中には数種類のカモメの仲間が混ざった群れもあります。
よく色合いを観察すればそれぞれの特徴が見えてきます。
カモメとウミネコの嘴(くちばし)の違いによる簡単な見分け方
カモメとウミネコの両者には他にも足の色や鳴き声などでの判断が難しいときの見分け方があります。
嘴(くちばし)に注目してみてください。
普段何気なく見ている時はあまり気づかないことかも知れません。
しかし、この違いはカモメとウミネコの一番簡単な見分け方と言えるでしょう。
大群になって空を飛んでいる時や少し距離が離れている時でも、どちらの種類なのか一目瞭然です。
まずカモメの方は、嘴(くちばし)の色は黄色くウミネコに比べると少し小さめです。
鶏などのごく一般的な鳥類と少し違うのは、上の方が下よりも長くなっているところです。
また、下に向かってカーブするような形状になっていることです。
対してウミネコの方は、カモメに比べると少しだけ大きく長いのが特徴です。
全体の色は黄色で上の先が下向きに曲がっているのは変わりありません。
決定的に違うのは、ウミネコの嘴(くちばし)には黒いユニークな模様があることです。
先端から3分の1ほどのところに、輪をはめたように赤と黒に色がついた部分があるのです。
赤い部分が多い個体もいますが、ほとんどは黒っぽい部分が多い模様をしています。
遠目から見ると汚れがついているのか何かをくわえているように見えるかもしれません。
よく見てもらえば、まわりにいる鳥にも同じような特徴が見られるはずです。
この部分に注目して観察すると黒と赤の模様がとても目立って見えます。
嘴で判断するときに気をつけなければならないことがあります。
それは黒もしくは、赤色だけの模様かも知れません。
カモメ属の中でもさらに数種類に別れ、それぞれよく似た姿をしているのです。
しかし、はっきりとした大きな黒い模様がある種類は<ウミネコだけです。
この点を比較すれば、カモメとウミネコを区別するのはそう難しくないでしょう。
カモメとウミネコの尾羽根の違いによる簡単な見分け方
カモメとウミネコには、他にも尾羽根にそれぞれ違う特徴を持っています。
これらの特徴も両者を見分ける上で役立ちますね。
体全体の色で見分けるときには、どちらの種も飛んでいない時には白い体にグレーから黒っぽい翼の色をしています。
よくよく観察してみてもおおよその違いしか判別出来ません。
さらに、羽毛が生え変わる前の幼鳥のケースが考えられます。
冬羽をまとった状態では、どちらも全体的に灰色のまだら模様です。
体表の色での識別はますます困難になります。
しかしこの特徴は一見してわかりやすいものなので、嘴(くちばし)や鳴き声を観察するよりも楽です。
まず先に見比べてみるのが最も簡単な見分け方かも知れません。
その特徴とはカモメの方は尾羽根の先の色が白です。
ウミネコは、尾羽根の先の色が黒であるということです。
この違いを知っていると比較的簡単に見分けることが出来ます。
なぜならこの部分は下から見るとよりその違いがわかりやすいからです。
鳥が空を飛んでいるところを目にすることは珍しいことではありません。
ですから腹の部分などの裏側を見る機会も案外多いのです。
カモメやウミネコが陸を歩いている時には見えにくい下側をじっくり観察することができますね。
なお、尾羽根の色がどうなっているか?
この方法だと特に誰の目にも簡単にはっきりと見分けることが出来ます。
飛んでいる時は羽根全体を大きく広げ尾羽根も同様に扇状に広げます。
尾の先の色は数センチほどあるので下から見上げた時、黒い色が確認できればウミネコです。
この黒色がなければカモメというふうに判断できます。
しかしこの見分け方にもひとつだけ注意点があります。
カモメの場合であっても子どもの時は尾羽根に帯状の黒い模様があるということです。
成鳥になるとその模様がなくなって真っ白になります。
しかし、ウミネコの場合はそのまま黒い模様が残ります。
そのような時は、嘴や鳴き声、足の色、季節などをチェックして全ての特徴を照らし合わせてみましょう。
こうすると殆どのカモメとウミネコの見分けが出来るようになってきます。
いくつかある違いからそれぞれの特徴を見極めて、この2種類の鳥を見分けてみてください。
カモメとウミネコの違い|まとめ
カモメとウミネコ違い?
どちらも同じような場所で同じような姿で飛んでたり鳴いていたりして区別がとても難しいですね。
また、同じ鳥の呼び方が変わって、こう呼ばれているわけではないです。
実は、カモメとウミネコは違う鳥です。
カモメは渡り鳥で、港や海岸、河口などに渡来します。
カモメは全長45cmくらいで平均的なサイズです。
両方の翼を伸ばし広げたとき左右の端から端まで約120cmになります。
ウミネコは沿岸部や河口だけでなく内陸でも生活します。
1年中群れで生活し岩礁や沿岸、干潟や河口に多く生息しています。
ウミネコも、私の地元で見かけるものは全長45~50㎝ほどで平均的サイズです。
こちらは翼を伸ばすと130㎝ほどになりカモメより一回り大きいです。
今まで同じ鳥だと思っていたのが違うとわかると空を見上げたときの感じが少し変わるかもしれませんね。
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