高齢者が座ったままできるレクリエーションは健康維持に役立ちます。
しかし、その目的や効果と注意点は気になるところですね。
高齢者になると筋力低下で運動する機会は激減します。
そのため特に生活習慣病などを罹患(りかん)しているわけでもないのに起居動作に困難をきたすことにも繋がります。
基本的な生活機能や生活の質(QOL)が低下するという事象は頻繁に経験されます。
このような場面で活用したいのが高齢者が座ったままできるレクリエーションです。
施設やデイサービスの現場でも要介護度低下予防を目的にレクリエーションを取り入れる向きが活発です。
目的や効果については、筋力低下や認知症予防も期待できる点です。
そこで今回は、高齢者が座ったままできるレクリエーションの10選と注意点も解説していきます。
高齢者が座ったままできるレクリエーション10選
高齢者がいすに座ったままできるレクリエーションの10選を御紹介します。
年齢を重ねるに従い問題となる全身の筋力低下による生活機能の廃絶を予防する種類が主となります。
そのため、認知機能維持や低下予防を趣旨にしたレクリエーションを加えた10選となっています。
①グーパー運動
グーパー運動は、椅子に座ったまま両手を肩の高さに上げて、前方につきだしてグーパーする動作を繰り返します。
単純な動作ですが、握力を維持食事やものを開封するなどの基本動作を維持する意味合いがあります。
効果的にするポイントは大きく指を開くことを意識することにあります。
②腕を上げる運動
モノをもちあげるなどの基本的動作を維持、腕を上げる運動となります。
やり方は、ひじを伸ばした状態で、両腕を肩の高さまであげ下げします。
椅子に座ったままですが、このときポイントになるのは、上体を前後に動かさないことです。
また、腕はあくまで肩の高さまで、ひじは伸ばした状態をキープすることです。
1セットは10回、上体が前後に動くとトレーニング効果が半減するので注意してください。
単純な動作ですが物を持ち上げたり、食事をしたり、衣服の脱ぎきなどの基本的な生活動作に必要な部位を満遍なく鍛えることになります。
③つま先上げ運動
つま先上げ運動は、椅子に座ったまま、左右両足どうじにつまさきをあげる動作で1セット20回になります。
膝下全面の筋肉を鍛える動作で段差のある場所はもちろん、何もない場所での転等防止の効果も見込めます。
ポイントになるのは、ひざを90度に立てることです。
そして、つま先を目いっぱいまで上げることを意識することにあります。
なれないうちは10回くらいから開始しましょう。
膝下の筋肉を活用することを意識することが効果的な筋力維持につながります。
④かかと上げ運動
かかと上げ運動は、左右両足のかかとを同時に上げさげを20回くりかえすというものです。
椅子に座ったまま両足を手前に引いて、両手で椅子の底板の左右をつかみます。
そのままの姿勢を維持してかかとのあげさげを10回反復します。
つま先上げ運動と組み合わせることで、立ち上がりや衣服を着るなどの基本動作を維持する効果を期待できます。
⑤もも上げ運動
もも上げ運動は、立ち上がり動作などを維持します。
椅子に浅く腰かけて、左右両足は腰幅にひらいて両手は椅子の底板を掴みます。
目線は、前に向けて背筋はのばしてください。
そのままの姿勢で左右のふとももを交互に10回持ち上げます。
身体を剃った姿勢で反動をつけたりしないようにしてください。
足の付け根を意識して上げ下げするのがポイントです。
可能であれば、左右同時にもも上げするとベターでしょう。
終了後は、ふともも全体を優しくもんでクールダウンをしましょう。
⑥ひざ伸ばし運動
ひざ伸ばし運動は、ふとももの前面の筋肉を鍛える運動です。
まず椅子に浅く腰掛けて背筋をのばし、足底は床にしっかり着けます。
両手は椅子のふちにそえるか、ふとももの前側に置いて下さい。
そのままの姿勢で、ゆっくりしたスピードで左右交互に膝を伸ばして、下げる動作を10回行います。
このレクリエーションは、つまさきを膝の高さまであげるのがポイントになります。
反動をつけると効果が半減するので、あくまで姿勢を維持することを心掛けましょう。
⑦腰のストレッチ
腰のストレッチは、普段そのままの姿勢になりがちな、腰にひねりを加えるというものです。
椅子の前部分に浅く腰掛けて両足はそろえ、胸をはって腹部に力をいれます。
ひねる方の肩を後ろに引いて、顔も後ろに向けて腰をゆっくり動かします。
このときひねる方向と反対側の手は、ひねる側の膝においてからだの軸を固定することが大事です。
そのままの姿勢を10から20秒ほどキープします。
その際、楽に呼吸しながら全体的に上半身がひねっていることを意識してください。
反対側も同様にひねり運動を行います。
腰のストレッチは腰痛予防や、腸を刺激するので便秘予防なども見込めます。
⑧腕と背中のストレッチ
腕と背中のストレッチは、こわばりがちな肩の緊張を解除し、腕のあげさげをサポートします。
椅子に浅く座ったまま両足は肩幅に開きます。
左右両手を前に組み、手同士をにぎりあった姿勢のまま、おへそをみることを意識しながら背中を丸めます。
このとき呼吸はとめないことと、肩甲骨が左右に開いていることを意識しながら行ってください。
⑨手先や指先を使用するレクリエーション
認知機能に関する研究は近年盛んです。
指先を活用することで脳を刺激し活性化させる効果があることが明らかになっています。
ハリと糸を活用した小物手芸やハサミやのりを使った工作や食材をこねるなどの簡単な料理などが代表的です。
塗り絵などは得手不得手などがないです。
形状を認識する色を選択するなどの脳に多彩な刺激を与えることから人気があるようです。
⑩クイズや脳トレなど頭脳を活用するレクリエーション
比較的複数人数が集まるような状況では、クイズや脳トレなどもおすすめです。
代表的なものは、しりとりやなぞなぞなどの言葉遊びです。
単調になりがちなしりとりなどは、動物限定や食べ物限定、地名限定などの条件を設定することでゲーム性が増します。
少人数ではトランプなども種目により記憶力や思考力も自然と活用されます。
高齢者が座ったままできるレクリエーションの目的と効果
高齢者施設やデイサービスの現場では色々なレクリエーションが実施されています。
ただ年齢を重ねるにしたがって生活習慣病や身体機能の低下、骨折などの生活事故の影響で身体機能の低下が見られるようになります。
施設やデイサービスの現場では、幅広い年齢層の入居者やサービス利用者に向き合うことにるのは必定です。
65歳をむええたばかりの方から、80歳代後半のかたにまで及びます。
ひとくちに高齢者のカテゴリーで、介護を実践するには到底無理があるのが現実です。
なお、積極的なインパクトを与えることが明らかとなってきました。
そこで最近注目を集めているのが椅子に座ったままできる各種のレクリエーションです。
よほどの身体機能の低下に直面しない限り可能です。
椅子にすわる程度の運動機能はかなりの高齢の方でも維持されている割合が大きいからです。
身体・認知機能の低下防止
椅子に座ったままできるレクリエーションには、愚弟的にどのような目的や効果を見込めることが出来るのでしょうか。
まず目的ですが、言うまでもなく介護状態にまで身体・認知機能が低下することを防止する効果が期待できます。。
高齢になるにつれて日常動作を含めて、身体を動かせることが億劫になりがちです。
こうなると全身の筋力が衰える傾向が顕著になります。
運動不足の状態は脳を含めた身体組織への刺激要因が減少するため認知機能への悪影響も想定されます。
なので、さほどの負担を感じることなく運動不足の解消や、脳への刺激などをもたらしてくれる助けをしてくれます。
つまり高齢者が座ったままできるレクリエーションに取り組む目的は、生活機能の維持が期待できるからです。
また、認知機能の低下の防止を補助する点にあると言うことができます。
そして高齢者が座ったままできるレクリエーションを実践する効果には生活の質を向上させる点をあげることが出来ます。
高齢になると直面する基本的な生活動作の能力低下を防止・改善する目的の運動が取り入れられているのが一般的です。
もっとも運動といっても、なんらかのスポーツなどに取り組むのは稀です。
生活機能の廃絶や低下を直接の目的にしているので、さほどの負荷を伴うものではありません。
要介護度の低下等の効果
中高年以下の世代にとっては物足りない印象はぬぐえないのも事実です。
しかし高齢者が直面する筋力低下は、日常的な起居動作が困難になるほどです。
場合によっては介護度があがったり寝たきりの生活を余儀なくされることもあります。
他人の介助に依存することなく、基本的な起居動作を維持することはプライバシーも確保されます。
ひきこもりの予防
生活空間での日常生活を維持するので、余生における生活の質(QOL)を維持する効果を期待できます。
さらに椅子にすわったままできる各種の運動やアミューズは、デイサービスなどの場面では複数の人間が集まって開催されることもよくあります。
高齢者になると外出するのが億劫で一人で生活をすごす傾向が顕著になります。
他者と触れ合う機会が少なくなることで、ひきこもりに直面する傾向もみられます。
この点、レクリエーションに取り組むために外出する機会をもつこともできます。
そうすることで、親しくなり仲間や友人ができるようにることも考えられます。
他人とのコミュニケーションをとることが脳には刺激になります。
孤独な生活で抱え込んだストレス解消効果も見込めるのでひきこもり予防効果も見込めます。
高齢者が座ったままできるレクリエーションの注意点
高齢者が座ったままできるレクリエーションには、運動やストレッチのほか手先を動かしたり各種のゲームなど実に多彩な種類があります。
効果的に活用すれば基本的な生活機能の維持や認知症予防などの効果を期待できます。
しかし効果的に実践するには、いくつかの注意点があります。
まず、それぞれの方の個性や嗜好(しこう)を把握することです。
高齢者には運動が好きな人もいれば、ものづくりに没頭することが好きな人もいます。
集団での活動を好む人もいれば、他人と調子を合わせるのがひがてな方もいます。
効果や自分の趣味趣向で人くくりにするのではなく、一人でも多くの方が楽しめるように種目の選定を行う必要があります。
またレクリエーションを主催する観点からは、進行役は大きな声で話をするということもポイントです。
大きな声でゆっくり話をすることはもちろんです。
ときには身振り手振りを交えることでわかりやすさを実感してもらえるように配慮するのも注意点のひとつです。
なお、高齢者と向き合うときに注意するべきなのは、敬意を忘れないということです。
高齢者は人生の先輩、年長者への敬意を忘れないで接することは何もレクリエーションに限った話ではありません。
年長者に敬意を持って接することは社会生活における基本的なマナーですね。
負荷が少ないとはいえ、椅子に座ったままのレクリエーションでも事故のリスクは存在しています。
ましてや身体機能が相当低下している方の参加も想定されます。
そのため、想定外の事故が発生することも考えておく必要があります。
レクリエーションで優先されるべきは何よりも参加者の安全です。
参加者の生活機能が維持されているレベルに応じておこないましょう。
グループを選別してリスクに見合った種目を割り振るなどの配慮が要求されるといえます。
確かに座ったまま取り組める運動などは、生活機能を維持しロコモティブ症候群による寝たきりの予防に役立ちます。
さらに、脳への刺激による認知症予防など様々なメリットがあります。
とはいっても参加を呼びかけても参加を拒否する方もいるのは確かです。
やりたくない、という本人の意思を尊重することは必須です。
誰にも好みやプライドがあるので、あくまで自発的意思による参加を前提に取り組むことが求められます。
高齢者が座ったままできるレクリエーション10選!目的や効果と注意点?のまとめ
高齢者が座ったままできるレクリエーション10選を御紹介してきました。
このレクリエーションには、立ち上がったり激しい動作を伴うことがないです。
筋力が低下したり骨折などの生活事故などの条件の方でも気軽に参加できるのがメリットですね。
手や足を上げ下げしたり、簡単なゲームやものづくりを行うなど内容は多彩です。
目的や効果では、筋力低下を防止したり腰痛や便秘などの身体面での効果が期待できます。
ほかに、血行が促進したり頭脳を活用することで脳を刺激し認知症を予防するなども期待されます。
レクリエーションを実施するにあたっての注意点では、参加者の安全を第一に留意することです。
座ったままできると入っても身体機能が低下している高齢者である以上転倒事故などのリスクは存在します。
さらにレクリエーションの内容選定や対応にあたっては、年長者への敬意をわすれないことなどが求められます。
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