ビル風の原理
ビル風を引き起こす原理ですが、風は通常、何にも遮られずに一方向に流れます。
ですが、建物が存在すると流れが遮られてしまいます。
その結果、風は建物にぶつかって進行方向を変えます。
そのため、風の速度が低下する代わりに圧力が増す現象が生じます。
これはベルヌーイの定理が説明に用いられるものです。
圧力エネルギーと速度エネルギーは常に一定だと説明できます。
建物を避けて流れた風は、圧力が高まった状態で低下した速度が元に戻ります。
それがビル風が発生する原理となります。
風速の速い高層階では特に、風のエネルギーが大きいです。
なので、建物にぶつかった時に生じる圧力も大きくなるわけです。
面で構成されているビルに対し、風はぶつかると全体に風圧を掛けるような形となります。
つまり、建物の上や横から吹き出すことになります。
中でも地上に近いところでは圧力が速度を増すので、急に強い風が吹く状況に遭遇しやすいです。
ビル風はなぜ起きる?
ビル風はなぜ起きるのか、どのような現象なのか?
ビル風は、風の流れを遮る建物があればどこでも発生します。
周囲に吹く風が強くなり、時に風害を発生させる現象を指します。
風が乱れて強くなったり、周辺の人や建物にも影響します。
そのため、これを無視することは不可能です。
ビルの高層でなければ発生しないと考えるのは間違いです。
条件次第では、高層ビルが多い方が発生しにくくなったり、殆ど発生しないケースもあります。
ビル風はビルやそれに近い高さの建物でも発生する
ビル風は、ビルやそれに近い高さの建物がある場所では、どこでも発生する可能性があります。
ビルの上階と下階では、風の圧力と風圧の差が生じます。
この風の圧力と風圧の差が風の乱れを引き起こします。
ビル風が発生する原因は風の流れを遮ること、その原因がビルにある以上は避けて通ることが難しいです。
とはいえ、現代的な設計の建物ではビル風の対策が採られています。
必要以上にビル風を恐れることはないです。
大事なのはこの現象がなぜ起きるのかを理解することです。
ビル風には、どういった影響があるか冷静に把握して活かすのが良いです。
ビル風が起きた時に予想される被害の目安
ビル風が起きた時に予想される被害は、建物の周辺を歩くと転んでしまうことがあります。
また、洗濯物が飛ばされてしまうといったものが目安となります。
落ち葉やごみが飛散して汚してしまうことも予想される被害となります。
それから窓がガタガタと音を立てて揺れたりもします。
これらは、ビル風の予想される被害の中でも小さなほうです。
ビル風の強さが増して影響が強くなると、お店ののぼり旗や看板、シャッターなどの破損に繋がります。
屋外に駐輪しているバイクや自転車は倒れる恐れもあります。
ガラスが割れて飛散してしまえば、不意に触れた人が怪我をする恐れもあるでしょう。
ビル風が強いと、普通に歩行するのも難しくなります。
足腰の不自由な高齢者や車イスの利用者にとっても、ビル風は厄介なものとなりそうです。
ビル風で問題となるのは、台風が発生した場合に局所的に風を更に強くしてしまうことです。
台風がビル風の被害を拡大させる
台風がビル風の被害を拡大したり甚大になり得ることも考慮しておくべきです。
瞬間的に強い風が吹いてこれらの予想される被害がより深刻化したり、甚大化する恐れに繋がるわけです。
通常なら耐えられる風速であっても、圧力が高まり勢いが増すと、風速が瞬間的に10mから20mほどに上がることがあります。
風速10mとはどのくらいの威力となるのかについては、下の記事で詳しく解説しています。
上から物が落ちてきて怪我をするケースも予想されます。
歩行者の転倒は擦り傷や骨折、バイクや自転車の転倒による怪我もあり得ることです。
いずれにしても、ビル風の被害の目安はあくまでも目安です。
実際のところは発生してみないと分かりません。
実際に、ビル風に遭遇しないと明確に被害を予想するのは難しいです。
そうすれば未然に対策できることが分かってきます。
ビル風の被害に対する心構えもできるようになります。
ビル風が起きた時の対策
ビル風が起きた時にできる対策は、なるべくビルから離れて開けた場所に移動することです。
理由は強い風の発生がビルなどの建物によるもので、風を遮る建物が周りになければ弱まることにあります。
この対策は周囲がビルに囲まれているような状況で有効です。
可能な限り早く風の強さに気がついて移動を始めるのが理想的です。
また、ビルから出ようとした時にビル風に遭遇した場合は一旦ドアを閉めて風が弱まるのを待つのが良いでしょう。
ですが、元々建物の中にいるケースであればおとなしくやり過ごすのが正解です。
しかし、屋外で突発的にビル風が吹いて煽られてしまったら、周囲に掴めるものがあれば掴まることです。
こうして、ビル風で飛ばされたり転ばないように対策しましょう。
周囲に何もなくて転びそうになったら、その場でしゃがんでビル風が弱まるのを待ちます。
なお、建物の後ろに逃げ込む対応は得策とはいえないです。
そもそもビル風は個人でできる対策が限られています。
建物の形状を工夫したり、風の進行方向を意図的に変える対策で対応は可能です。
ビル風が起きた時に対処するのではなく、建物や周辺の工夫による対策をするのが基本となります。
しかし、個人でできることは限られます。
樹木を植えたりフェンスを設置すると、風の流れを変えることができて圧力や風速を弱められます。
それと面を小さくして角を造らない建物の設計もまた、割とポピュラーな防止策となります。
角にくぼみを作る隅切りや上階に向けて階段状にするセットバック、中空層の設置なども有効と考えられています。
こういった工夫がされている建物は、周辺の風が強くならない対処が行われています。
そういうところを見つけて移動するのも1つの対策です。
ビル風の種類と特徴
ビル風の特徴を確認すると、種類が多くて種類によって性質が異なることが分かります。
建物が存在することで、これらの風が吹く可能性が高まります。
ビルに囲まれて生活している現代人には誰にとっても無視できないものです。
ビル風には、建物に当たって流れた風が角から流れて広がるのを剥離流といいます。
剥離流はビル風の主な要因と考えられているので、この剥離流を中心に様々な種類の風が生じると考えるのが妥当です。
ただ、発生のメカニズムは分かっていてシミュレーションも可能なので、全く対処法がないわけではないです。
むしろしっかりとシミュレーションを行い、計算結果に基づいた建物の設計をすれば、かなり発生リスクを抑えることができます。
吹き降ろしは、建物の高さが60から70%あたりのところでは風が上下左右に分散されます。
このうち下方向に流れるものをいいます。
上階から地上に向けて流れる吹き降ろしといいます。
吹き降ろしの特徴は高層ビルほど顕著な傾向で、風速が弱くても発生します。
地上から上空に向けて流れる風を逆流といいます。
逆流は吹き下ろしから発生するもので、地面に到達した風の一部が風上に向かうのが特徴です。
2つのビル(建物)の間で剥離流が発生する風を谷間風といいます。
谷間風は建物の距離が近く、両方から剥離流が発生して重なり合う場合に生じるビル風です。
下層部に開口部が設けられている場合に起こる風を開口部風といいます。
開口部風はピロティーのような開口部がある建物で発生するので、ピロティー風と呼ばれることもあります。
特徴は建物の前後の圧力差から生じることで、圧力差が小さい建物では発生しないことです。
街路風は市街地における街路、路地に吹く風のことです。
この風は、ビルの壁面がダクトとして機能することで発生します。
渦領域は建物の風下で、左右に発生する渦を巻く風を意味します。
左右から生じた渦が交互に広がっていくことから、渦領域やウェイクとも呼ばれます。
ビル風の原理|まとめ
ビル風の原理ですが、風は通常、何にも遮られずに一方向に流れます。
しかし、建物があると流れがブロックされてしまうわけです。
この為に、風は建物にぶつかって進行方向を変更します。
これに伴い、風の速度が落ちる一方で圧力が増す現象が発生します。
建物を避けて流れた風は、圧力が高まった状態で低下した速度が元に戻ります。
それがビル風を引き起こす原理です。
なぜ起きるのか、発生した時に生じる被害を予想したり、目安を頭に入れておくことはとても大切です。
ビル風はなぜ起きる理由は、建物にぶつかった風が減速しつつ圧力を増し、角まで到達した風が勢い良く吹き出すことにあります。
発生した時に予想される被害の予想は人やバイク、自転車の転倒やそれによる怪我です。
また、洗濯物が飛ばされたりゴミが飛散するなどです。
台風もビルの存在によって風速が増す恐れがあります。
予想される被害の目安は看板の落下やシャッターの変形、ガラスの破損といったものです。
このような状況に遭遇したら開けた場所か建物の中に避難することです。
移動が難しければ近くにあるものに掴まったり、しゃがみ込んでやり過ごすなどがあります。
樹木やフェンスを設置したり、建物の形状を工夫することで被害の発生や拡大を防げます。
ビル風には、未然の対策も重要です。
ビル風には剥離流や吹き降ろし、逆流に谷間風、開口部風に街路風や渦領域といった種類があります。
メカニズムは判明しているので対策も可能です。
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