スズメバチによる被害を近年は、耳にすることが多くなりました。また実際にスズメバチに遭遇し刺されてしまった。しかもスズメバチに刺された場所に毒針が残ってしまった。そんな時の対処法が分からないという方も多いのではないでしょうか。
今日は、スズメバチに刺されてしまった場合に、その針を抜く方法についてです。また、針を抜くための道具や針の構造、毒針の危険性についても詳しく解説していきますね。
スズメバチの針を抜く方法
通常スズメバチ(雀蜂)には、ミツバチのように刺されても針が人に残ることはありません。これは、針の構造によるものでスズメバチは刺した対象に残りにくいようになっているからです。
しかし刺したときの針が100%残ることがないかと言えばそのようなことはありません。少ないケースですがもし針が残ったままになっているときは抜かなければと危険です。万が一、刺されて刺さったままになってしまった針がある場合は、速やかに抜くことです。
スズメバチに刺されてしまった場合、刺されて5分以内に針と毒を抜くことが重要です。針の抜き方を知っているか、できるかできないか。これにより、その後の症状が大きく変わってきます。
適切な応急手当や処置を行えば数日で治ります。その処置が遅れると痛みや腫れが長引いてしまいます。
スズメバチの針を抜くときに注意すること
スズメバチの針を抜くときの方法にも注意やコツが必要となります。早く抜かなければと焦って手でつまんで抜くやり方は危険です。スズメバチの針には毒の入った毒嚢(どくのう)という毒素の入った袋のようなものが付いています。
この毒嚢から毒が体内に入るためもし針が自分の体に残ったら速やかに抜くことが大事です。ただし、毒嚢を指でつまんでしまうとかえって毒を体内に押し出してしまうことになります。
この袋を摘まんでしまうことのないように針のような細かいものを挟める器具で抜くことです。このやり方でなければならないです。そのため重要なのはスズメバチの針を手で触らないということです。
このような針を抜く方法で簡単に抜ければ後は病院に行くことで問題ありません。しかし、きちんと針が抜けず残ってしまうことがあります。その時は無理に抜こうとせずに早急に病院へ行って抜いてもらう。
この方が、安全でおすすめです。針が抜けないからと無理に取ろうと必要以上にいじってしまわないことです。これにより余計に深く刺さってしまうという危険性もあります。
また、このときに毒嚢をさらに押してしまうことにもなりかねません。何度も言いますが簡単にとることができないようであれば、速やかに病院へ行ってください。
スズメバチの針を抜くのに必要な道具
スズメバチの針を抜くのに必要な道具は、針の部分だけを挟むことができるものが最適です。道具を持っていないからといって指でつまんで抜こうとしないことです。これが原因で毒嚢を押し潰してしまうこともあります。
蜂の毒嚢とは毒の入っている袋のようなものです。これを押し潰してしまうと更に毒を体内に入れてしまうことになり危険です。そのため重要なのは、針を手で触らないということです。これらに注意しながらスズメバチの針を抜く応急処置をします。
ピンセットや刺抜き・毛抜き・魚の骨抜きで針を抜く
ピンセットや刺抜き(とげぬき)、毛抜きなど針の部分のみ摘めるようなものを使います。これらのグッズは、細かいものをつまんで取り除きやすいです。スズメバチに刺されたのが家の近くであれば、これらを用意することは難しくないでしょう。
なお、小さくて見えずらい蜂の針を抜くのにとても便利で抜きやすいグッズを見つけたので載せときますね。中には、しっかりとピンセットや刺抜き、毛抜き、骨抜きなどを持ち歩いているという方もいます。
カードを代用して針を抜く
外出時にハチに刺された場合にピンセットや毛抜きを持ち歩いていないということもあるでしょう。また通勤・通学中やアウトドアで屋外にいる時などに用意していないこともありますね。
では、そのように考えた上で、抜くのに必要な道具として代用できるものはあるのでしょうか。細かいものを挟めるものではなくても、抜くことは可能です。そのような時は、硬いカードのようなもので横に払うようにすると安全に抜くことができます。
カードのようなものなら財布に入っていることも多いので対処できます。このように緊急時には、財布の中にあるものでも抜くこともできます。財布であれば屋外でも持ち歩いているという方は多いでしょう。
財布の中で使えるものとはカードのような硬くて薄いものです。クレジットカードや診察券など、カードであれば何でもかまいません。
カードで横に払うようにすると簡単にとることができます。針には毒嚢がついているため、刺さっている限りは毒が体内に入ってくることになります。
なお、スズメバチの針の抜き方ですがこの蜂に限らず他の蜂に刺されて針が残った場合にも使えます。たとえばオオフタオビドロバチのようなドロバチの仲間などに刺された針を抜くときにも応用できます。
粘着性のあるもので針を抜く
ピンセットや毛抜きのようなものがないようであれば財布やバッグの中を探してみましょう。カード類を持ち歩く習慣がないという場合は、絆創膏やテープなど粘着性のあるものでも対処することができます。
絆創膏やテープなど粘着性のあるものに、くっつけるようにして取り除くのです。こうすることで手で摘まむことなくとることができます。
このようにピンセットがないとしてもカードやバンドエイドなどでも対処できます。また、粘着性のあるテープで取り除くこともできます。
できる限り早く処置ができるように、これらの道具でも代用可能であると覚えておくと良いでしょう。これらの道具をすぐに用意ができなかったりすることもあります。また、道具を使っても上手くとれなかったりした場合は、なるべく早く病院へ行きましょう。
スズメバチの針の構造
ハチには針を刺して攻撃をする種類と攻撃をしてこない種類がいます。ハチの持つ針は、その進化によって攻撃に使うようになったとされるものです。しかし針は元々、木の組織に産卵するために使われる産卵管でした。
そのため、刺さないハチは刺すことができる形状であっても毒を持っていません。攻撃もしてくることも滅多にありません。もともとは産卵管であるため攻撃をしてくるのはメスだけです。
オスは針を持っていないのも特徴です。刺さないハチの種類は原始的な姿に近いといわれています。
では、攻撃をしてくる種類に属すスズメバチの針はどのような構造をしているのでしょうか。大まかな針の特徴として長さは2mm~7mm程度、太さは0.2mm~0.5mm程度です。
これは、種類によって異なります。また、スズメバチ自体の体長も種類によって色々な大きさのものがあります。オオスズメバチは、その体長が27mm~38mm程度で世界最大と言われるものです。
日本でよく見られる黄色スズメバチは体長18mm~24mm程度の大きさです。ミツバチと比較すると針が残りにくいと説明しましたが、これは構造の違いによるものです。どちらもノコギリのようにギザギザとした形状をしています。
ミツバチはこのギザギザが大きくついているのが特徴です。それと比較するとスズメバチもギザギザしていてノコギリのようになってはいます。
しかし、目が細かいため刺したとしても対象へ残りにくい構造となっています。このような構造の違いがある上に、蜂の針は内臓と繋がっているのも特徴です。
一度刺すと内臓も体から抜けてしまい絶命してしまう構造になっています。そのためミツバチは、簡単に針を刺してくることはありません。一方、スズメバチは二枚の尖針(せんしん)が交互に動いて皮膚を裂くように刺さります。
このような作りをしているため抜けやすくなっています。このような違いによりミツバチのように抜けなくなることは珍しいです。
また、刺さったままにならないということは、内臓が取れてしまい絶命するようなこともないということになります。そのため毒が残っている限りは、何度でも刺してきます。この毒は刺すだけではなく、空中に散布して攻撃してくることもあるため注意が必要です。
目に入ると失明する危険があり皮膚に触れると炎症を起こします。それ以外にも仲間を呼び寄せる作用もあるため複数のハチに襲われる可能性もあります。ただし、もし刺さったままになってしまった場合はミツバチと同じように内臓まで抜け落ちてしまいます。
このためスズメバチもミツバチ同様、生きていることはできなくなるという特徴は同じです。
スズメバチの針の毒性と症状
スズメバチの針も元々は産卵管であったものです。これが、進化の過程で攻撃に使うようになったとされています。そのため刺してくるのは産卵をする必要があるメスだけです。ハチに刺されると様々な症状が出ます。
これは、いろいろな毒性のある物質を含んでいるために引き起こされるものです。蜂は大きく分けると4種類の毒性を持っています。
アミン類という毒は痛みやかゆみを起こす物質です。低分子ペプチドは痛みや赤血球破壊、血圧低下、アレルギー症状の原因となります。酵素類は組織破壊や赤血球破壊、アレルギー症状を起こします。
その毒性はアミン類・低分子ペプチド・酵素類・非酵素系神経毒に分けられます。非酵素系神経毒は神経系に作用するものです。この内、スズメバチはアミン類の毒を最も多く含んでいます。そのため刺されると非常に強い痛みを感じます。
また、スズメバチはハチの中で最も毒の量を多く持つ種類です。非酵素系神経毒はオオスズメバチのみが持つ毒です。非常に強い痛みを感じることがありますし毒の量が多いと説明しました。
ですが人間の身体の大きさを考えればハチの持つ毒はそれほど多くはないものです。そのため1匹に刺されただけで死に至るということは考えにくいものではあります。ただしアナフィラキシーショックなどを起こすと別で危険です。
アナフィラキシーショックを起こすと蕁麻疹やかゆみが現れたり赤く腫れたりします。唇や口の中やまぶたの腫れを起こすこともあります。息切れを起こしたり咳が出たり、呼吸音に異常が出るのもアナフィラキシーの症状です。
脈拍数の増加や低下、動悸、血圧低下、嘔吐や強い腹痛がおきます。また、めまいやしびれ、痙攣、耳鳴り、意識障害などを起こすこともあります。
全身に症状が現れ不安感や無力感がでることもあります。刺された局所だけに痛みや痒みが出るだけであれば、数日で治る可能性もあります。それ以上のアナフィラキシーの症状が出た場合は非常に危険です。
このアナフィラキシーショックですが日本に棲む昆虫で民家の中によく出てくるムカデもこの症状がでます。このような異常を感じた場合は速やかに病院を受診しましょう。
スズメバチの巣があったときの対処法
スズメバチに刺されたときに近くにスズメバチの巣があった場合、更に刺されてしまう危険があります。その場にとどまることはせず可能であればスズメバチのいないところまで離れましょう。
少なくとも10~20メートル以上は離れてください。近くにハチが残っていると走って逃げたくなってしまいます。
しかし激しい動きはハチを刺激してしまい攻撃してくることがあります。逃げるときはなるべくゆっくり落ち着いて動きましょう。安全を確保したら患部に針が残っていたらまずは針を取り除きます。
その後、流水で患部を流しますが、こうすることで毒を流すことが可能です。この時、傷口周辺をつまむと血と一緒に毒を絞り出すことができます。
毒を出すことは大切ですが、患部を口で吸って毒を吸い出すような行為は控えましょう。飲み込んだからといって直ぐに悪影響のあるものでは有りません。しかし、毒を口にいれるのは危険です。
歯茎などから体内に毒が入ってしまう恐れもあるからです。アウトドア用品を扱っているお店などでは毒を吸い出すための専用の吸引器も販売されています。頻繁に屋外で活動したりレジャーをしたりする場合には用意しておくと安心です。
毒を出した後は、薬があれば塗っておきましょう。薬は成分に抗ヒスタミンを含むステロイド系軟膏です。市販薬で一般的に虫刺されの薬とされているものの多くには含まれている成分です。
抗ヒスタミンは、じんましんやアトピーなどの症状緩和にも痒みを抑えるために使われます。ステロイドとは炎症やアレルギーを抑えるたの成分のことです。副腎皮質ホルモン薬とも呼ばれます。
刺された時に現れるのは、簡単にいうとアレルギー反応です。そのため、このような成分は症状を緩和させる効果があります。また、痛む場合は冷やすと痛みを抑えることができます。
保冷剤や氷を袋やガーゼにくるんで患部にあてておきましょう。以上でスズメバチの毒針で刺された場合の緊急時の応急手当は終了です。これはあくまでも応急手当なので処置を終えたら早めに病院を受診しましょう。
さらに、アナフィラキシー症状が出てしまうと危険です。万が一、すでにアナフィラキシーの症状が出ているようであれば速やかな受診が必要です。
受診科は基本的には皮膚科に行ってください。なお、お子様が刺された場合は、近くに小児科があればそちらでも良いです。基本的には皮膚科を受診することになります。お子様の場合は小児科でも見てもらえます。
病院では、局所麻酔をしてメスで患部を切り取ってもらうような処置を受けることになります。
スズメバチに刺されたら乗り物を運転しない
アナフィラキシーショックなどの身の危険を感じた場合には救急車の要請することも大事で安心です。自分で車やバイク、自転車などの乗り物を運転しないことです。病院へ向かう途中アナフィラキシーショックの症状が出てしまう可能性もあります。
また、全身症状が現れたりアナフィラキシーショックの症状が現れると事故にも繋がる恐れがあり危険です。そのため、付き添いがいる場合、ご自身で運転して病院に行くのはやめてください。
運転中に意識を失うなどの可能性がありとても危険です。この場合は、周りの人に連れて行ってもらいましょう。
結び
スズメバチの針についての記事はどうでしたでしょうか?余談となりますが、これほど危険で昆虫では最強と思われるスズメバチですが実は天敵もいます。その代表的な昆虫にオオカマキリやオニヤンマなどがいます。
ただし天敵といっても場合によりスズメバチの餌となるケースもあります。カマキリの餌については下のページで詳しい説明を書いてみましたので参考にしてみてくださいね。
このスズメバチの毒針は、何度も刺せるという特徴もありましたね。こうなると、同じハチに何度も刺されるという可能性もあります。また、毒にも特徴があり仲間を呼び寄せるフェロモンがあります。
これは、仲間のハチも嗅ぎつけ寄ってくるということです。アナフィラキシーショックの怖さや危険性も忘れてはいけないです。
針がハチの体から抜けて刺された場所に残った場合の処置も重要でした。スズメバチと遭遇する可能性のある場所に行くときはトゲヌキやピンセット、毛抜きを持参することも大事ですね。
なお、ハチに刺されたときの緊急時の基本的な応急手当の仕方についても書いてみました。ただし、処置を終えたら早急に病院を受診することが一番大事なのでこちらをおすすめします。
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