今年も新嘗祭の時期が近づいてきましたね。
新嘗祭(にいなめさい)は、同じ書き方で(しんじょうさい)とも読みます。
新嘗祭の新は新穀のことで嘗はご馳走のことを指します。
また、今の勤労感謝の日の生産を祝いとつながります。
今日はこの新嘗祭と神社について説明していきますね。
新嘗祭と神社の関係
新嘗祭は元々11月に行われる宮中の行事となります。
天皇により新穀を天地の神様に対して供え天皇自身もこれを口にする祭事のことです。
一方の神嘗祭は五穀豊穣の感謝祭のことです。
神嘗祭の由来は日本神話上で天照大神が高天原で初穂を口にしたことから始まります。
こちらも伊勢神宮で行われるお祭りですから神社との関係が深く現代にも続いているわけです。
開催日は新嘗祭の11月よりも早く毎年10月17日に執り行われるのが通例です。
お供えや感謝を伝える相手が天照大神なので他の神様にも感謝を伝える前者とは少し意味合いが違います。
新嘗祭は宮中行事ではありますが神嘗祭と同様に神社でも毎年お祭りが開催されます。
つまりどちらも特別な儀式で、その年の豊穣を感謝する目的においては両者共に共通しているポイントです。
感謝を伝えるタイミングは異なりますが少なくとも日本の神様が相手でとなります。
それに天照大神を筆頭にしている点は共通です。
新嘗祭ではまず宮中で天皇が五穀新穀の天神地祇となって実際にご飯を食すことで気持ちを伝えます。
神社は天皇の行動に倣う形で同様に各地でも新穂の感謝を伝えるわけです。
このお祭りにおいては、宮中は伊勢神宮に使者を遣わせていて間接的に天皇と神社との関係を保っていました。
目的が現代に受け継がれて続いていることと11月23日に特別な意味がある点は共通します。
また、毎年続けられている点も同様だといえるでしょう。
違いがあるとしたら、それは前者がその年の収穫を感謝すること後者は五穀豊穣を感謝する点が挙げられます。
新嘗祭と神嘗祭は、目的が似ていても意味は少しずつ違います。
ですが、どちらも一連のイベントとして関連しているのは確かです。
神嘗祭が伊勢神宮のみで執り行うというのは間違いで、こちらも祭祀の1つとして宮中でも行われます。
現代ではどちらも伊勢神宮や神社で毎年開催されているお祭りです。
そのため違いがあるとはいっても深く関係しています。
前者のお祭りを改めてまとめると収穫の感謝を目的としているところです。
なお、天皇を筆頭に執り行われる宮中祭祀の大祭だと分かります。
具体的なタイミングは天皇の即位の礼の後で一番最初に行うイベントであることから大嘗祭とも呼ばれています。
各地でも伊勢神宮を始めとして収穫祭が行われるので両者の間に関係はあってそれも長く続いている
といえます。
新嘗祭の意味
新嘗祭は祭事の中で大祭に含まれています。
現在の日本では勤労感謝の日として11月23日が祝祭日となっています。
一見すると両者に関係はなさそうですが国民が働いてこそ収穫が得られます。
そして国が保たれる意味では、十分に関係していると言っても過言ではないでしょう。
新嘗祭の位置付けは、五穀豊穣のいわゆる収穫祭で新には新穀の初穂の意味が込められます。
嘗はご馳走という意味なので天照大神を始めとした天地の神様に向けて文字通り大地の恵みを感謝するわけです。
毎年収穫された初穂を伊勢神宮に祀られている天照大神に対してお供えと感謝を捧げるものとなります。
詳細な起源は不明ですが日本には昔から五穀の収穫に感謝する風習がありました。
それが国家レベルにまで拡大したものだと分析されます。
斉明天皇の飛鳥時代においては、収穫が国家を支える重要なものに位置付けられています。
そのため国をあげて感謝を伝えるようになっています。
理由は諸説あるものの一時的に中断された時期もありました。
しかしこれは、東山天皇の元禄時代から再開されることになります。
元は旧暦11月二の卯の日に行われていて太陽暦を採用した1873年を境に新暦の11月23日が新嘗祭の日になりました。
この日に定められた理由は、丁度同年の11月の二の卯の日が11月23日だったことに由来します。
1908年の皇室祭祀令で大祭に指定され1947年に同法が廃止されます。
ですが、その後も宮中の大切な祭祀として開催されています。
宮中において最も重要な祭祀と捉えられています。
こうして数ある祭祀を執り行う天皇にとっても1年の中で特別なお祭りだと考えられます。
勤労感謝の日が制定される以前にも実は11月23日は祝祭日だったことがありました。
1873年から1947年に掛けてこの日はお休みでした。
1948年以降も国民の祝日に関する法律で祝祭日でした。
そのため勤労感謝の日のルーツは1873年にあって現代に引き継がれているお休みとなっています。
新嘗祭では、天皇が初めて新米を食することから一部では天皇が初穂を口にするまで新米を食べない風習が残ります。
現代においてはとても稀ですが昔はそれだけ特別な一大イベントです。
そのため、国民の間でも特別感が強かったと思われます。
天皇に倣って感謝しながら新米を食べる、これがお祭りのメインイベントです。
これまで、新嘗祭の映像は公開されていませんでした。
今上天皇が80歳を迎えたのを記念して宮内庁が特別に映像を公開しています。
飛鳥時代に始まったこのお祭りは、実に約1500年もの歴史を積み重ねていて重みがあります。
今一度その歴史や価値を考えてみることも大切ですね。
なお、天皇が即位の礼のをした後に最初にやる新嘗祭を大嘗祭という。
新嘗祭はどんなお祭り
新嘗祭とは、天皇が天照大神の他神々にお供え物をして天皇が自ら食して収穫に感謝するお祭りのことです。
どんなと問われれば時代によりますが基本的には宮中で執り行われる祭祀です。
そのため、ごく限られる人達の間で行われていました。
現代では、天皇が栽培した新穀もお供え物として感謝を伝え、収穫された新米をお召し上がりになります。
かつては天皇がお米を栽培することはありませんでした。
それが今ではこのように少しお祭りが変化しており国民にお手本を示すかのようなっています。
従来からも伊勢神宮には勅使を遣わしていたので、その点では神社にお手本を示していたともいえます。
なお、実際の新嘗祭の様子は非公開でした。
しかし宮内庁が映像を特別公開したのを機に実際の様子がどんなものか、より具体的に分かるようになりました。
新嘗祭は戦後、GHQによる神道や神話に関する祝日を廃止する方針で、この名前の祝祭日が消滅しています。
お休みは勤労感謝の日に引き継がれましたが新嘗祭自体は宮内庁で続けられていました。
それがようやく映像でお披露目になった形です。
重要かつ最も過酷な祭祀といわれるように天皇が身につける御祭服はとても重いです。
また着替えに数十分も要することが新たに分かっています。
お祭りは23日の午後6時、夕の儀から始まり午後8時まで続けられます。
夕の儀の後は暁の儀に続き午後11時から翌午前1時まで合計4時間にも及びます。
80歳を過ぎた今上天皇にとっては、重量のある装束も長時間の儀式も過酷なものでした。
場合によっては10度を下回る場所で執り行われます。
新嘗祭を執り行う神嘉殿には暖房がありません。
天皇は各儀式の合間にも正座で過ごすことから非常に体に堪えるものと想像できます。
それでもこの祭祀が続けられているのは、宮中にとって歴史あるものです。
そのため天皇もまた特別なイベントだと捉えているのが理由でしょう。
常に国民を思い心から収穫を喜ぶ今上天皇だからこそ現代にも1500年余りの祭祀が続いているわけです。
つまりどんなお祭りかと問われれば、天皇が全身全霊で臨むイベントです。
寒い場所で執り行われることも相まって、ご老体には過酷だと答えられます。
歴史を受け継ぐ宮中も思いは同じで総力をあげて純粋に収穫を感謝していることが理解できます。
神々を祀る神社では天皇や宮中と思いを同じくして現代でも各地でそれぞれお祭りが開催されています。
神社にとっても特別中の特別なイベントとなります。
新嘗祭はいつ行なわれる
新嘗祭が行なわれる日付は、毎年11月23日と定められています。
11月23日から24日に掛けては厳かな雰囲気がより強まり辺り一帯の空気が変わる感じすらします。
開催日は11月23日で、開催場所は宮中三殿の側にある神嘉殿です。
これは太陽暦が採用された1873年から変わりません。
もうすぐ150年を迎える2018年の時点でも同様です。
旧暦を採用していた頃は、11月13日から11月24日と約10日の内のいずれかでした。
そこも現在は、固定されているので明確です。
新嘗祭はいつという問いには、毎年11月23日で2018年も変わらずに同じというのが答えです。
宮中での日時は、夕の儀が午後6時から8時までの2時間、暁の儀が午後11時から午前1時までです。
伊勢神宮では、外宮の奉幣が午前7時からの予定となっています。
また、内宮大御饌が午前11時から同じく内宮の奉幣が午後14時からの予定です。
このように、いつ行なわれるかは決まっていますが日時は宮内庁と伊勢神宮で違ってきます。
儀式の内容にも差がありますから完全に日時が一致するわけではないです。
全国各地にある神社では、伊勢神宮に倣って同様の時間帯に開催する場合が多いです。
宮中祭祀の大祭なので日時が厳格に決められていると思われますが宮中以外では割と自由な傾向です。
11月23日という日付さえ合っていれば、場所や時間帯は問わず自由に新嘗祭が祝えます。
公式な場以外でのお祭りの方法は様々です。
その年に収穫された新米を皆で味わうのが一般的となっています。
個人や仲間内で集まって祝う新嘗祭は、宮中とも伊勢神宮とも関係がないので基本的に日時は自由です。
そのため収穫に感謝するなら何をしても良いといえます。
重要なのは11月23日という日にちで、この1日の中ならいつでも好きな形で神様に感謝の気持ちが伝えられます。
農業に従事していない人でも当たり前のように食べられるということにです。
こうして大地の恵みに感謝することで食の有り難みが感じられるようになります。
歴史ある新嘗祭は、世界的にも長く続けられている有数の収穫祭です。
このため日本に限らず海外からも11月23日に注目が集まります。
地元の神社でお祭りが行なわれる場合は、確認したり問い合わせてから訪れるのが無難です。
時間帯によっては一般客の立ち入りが禁止というケースもなくはありません。
なので、まずは開催されるのかどうか、それに参加可能か否かを確認するのが良いでしょう。
2018年も開催日は11月23日で時間は宮中と伊勢神宮や各地の神社で異なります。
ほとんどが午前から始められる傾向となっています。
新嘗祭はどこで行われる
どこで行なわれるのか、これも新嘗祭に関する気になる疑問の1つです。
大祭の新嘗祭はまず、宮中を中心に開催されますから筆頭の場所は天皇のいる皇居ということになります。
開催場所は宮中三殿の側にある神嘉殿です。
もう1つは関係の深い伊勢神宮で、これらの2ヵ所が全国の中でも代表的なスポットです。
新嘗祭は神社のイベントでもありますから全国各地の神社もまた新嘗祭の開催場所です。
具体的な地域をどこでと問われても答えは難しいです。
まずは伊勢神宮に関係する全国の神社で、と答えることができるでしょう。
伊勢神宮と直接的な繋がりはなくても収穫を祝う気持ちのある神社であれば全国のどこでもお祭りを開催します。
豊穣の神様を祀る場所ならば、比較的このお祭りに同調して開催を執り行う場合が少なくないです。
極端にいえばどこでもお祭りの場所となります。
お祝いする気持ちさえあれば祀られる神に関係なく感謝することが可能です。
一見するとお寺は関係がないように思われます。
しかし、お寺でも開催されることがあるので、このお祭りは実に幅広く浸透していると思われます。
いわゆる社寺に該当する施設ではなくても個別に感謝を伝えたり祝う形で自然と執り行なわれる場合があります。
近所の人達が集まって新米を食べる、それも形は違えど立派な新嘗祭です。
そのため、公式ではないにしろ目的は同じです。
つまり公式には宮中がお祭りの中心地となります。
また、伊勢神宮とそれに関わる神社であったり無関係でも間接的に他の神社やお寺でも開催されます。
地域によっては農家が新米を持ち寄ったり家族や親戚が集ってそこが即席の開催場所になります。
ですから、その気になればどこでもお祭り会場に早変わりです。
正式な形で神々に感謝を伝えたいなら身近な神社に出向いて気持ちを伝えるのがベストです。
宮中は関係者以外が立ち入り禁止なので出向くことができるとしたら伊勢神宮などの一般客を迎え入れている施設でしょう。
伊勢神宮は人が多く集まる施設ですし全国から熱心な参拝客も訪れます。
このように宮中に近いお祭りが見られる意味で一度訪れてみる価値があります。
11月23日にお祭りが行なわれるのは、公的には宮中で一般向けには神社です。
神社は伊勢神宮を筆頭に地域を選ばず、どこにおいても11月23日に執り行なわれます。
お寺で開催されるケースもあります。
ただし、こちらはややマイナーで開催場所も限られてきます。
なお、神社とお寺のどちらでも開催される行事というものもあります。
有名な行事のひとつが針供養です。
こちらは、毎年2月8日と12月8日に行われる使い古した針の供養が目的となります。
結び
新嘗祭と勤労感謝の日にも、意味深い関係があったんですね。
また新嘗祭と神嘗祭の違いや天皇と神社の関係についてもおわかりいただけましたか。
なお、誰もが知る行事の一つに針供養が存在しますね。
これについては、毎年2月8日と12月8日に開催される使い古した針の供養が目当てとなっています。
この祭りは全国各地の神社でも同じ日に開催されているので、大地の恵みに感謝する意味で見学してみるのもおすすめです。
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