おせちの海老(えび)の意味
おせちで最も華やかに場所を取っている食材と言えばやはり海老(えび)ではないでしょうか。
エビフライにする時にはとにかくまっすぐにする為にと筋を切ったり竹串を差して補強しています。
決して広いとは言えないお重の中だからというだけでなく意味合いから考えています。
くるんと曲がった状態のものを入れる方がむしろ本来の姿で良さそうですね。
腰の曲がったその姿、それは人間で言うとお年寄りを思わせます。
今日から始まる新しい1年を健康で過ごせることはもちろんのことです。
そのうえ腰が曲がるまで長生きできますようにといった願いが込められているのです。
今もですが、昔は人々の寿命も短くちょっとした流行病でも倒れていくものでした。
そのため、長寿への願いは切実でした。
医学の進歩も華々しい現代だって不老不死とは言えず、不治の病となるような病気だってあります。
また、ゆでることで赤くなるというのも海老ならではの特徴です。
「紅白」という言葉もあるようにお祝いの場には華やかな赤色は目にも鮮やかに飛び込んできますね。
味だけでなく見た目にもこだわる日本料理、せっかくのお正月のおめでたい席です。
良い気持ちで始められるようにといった気持ちも込められているのでしょう。
特に有頭のものを使うと豪華さも加わり、晴れの場に相応しい祝いの膳となります。
このように海老はおせち料理において決して欠かすことの出来ない存在なのです。
おせちで祝う1月1日の元日はもちろん3月3日の桃の節句に5月5日の端午の節句もそうです。
そして7月7日の七夕は今もお祝いしていることでしょう。
更に9月9日の重陽を合わせて5つの節句とされ節目に当たる日だからこそです。
こうして、平安時代から神様にお供えしたりご馳走を食べたりされています。
特に元旦はその年の最も始めにある節目、だからこそ大切な日です。
節句に頂くご馳走を御節供(おせちく)と言い、それがおせちと略されました。
今ではおせちと言えばお正月に頂くご馳走となったのはその為です。
大切な日だからこそめでたさを重ねるという意味の重箱に詰め、入れられる食材すべてに意味があります。
おせちの海老(えび)のおすすめの種類
海老(えび)と言ってもその種類は様々です。
おせちなどで日本ではポピュラーな食材ゆえに正月時期には多数スーパーでも出回っています。
好みや重箱のサイズ・食べる人数や予算に合わせて良いものを選べばよいものの、合わないものはあります。
一般的に使われているのは車えび、サイズ的にもお値段の面でも使いやすくおすすめです。
ブラックタイガーを使っているというお宅も多いはずです。
せっかくのお正月、とにかく贅沢な食材をというなら伊勢えびだってあります。
大きな体はそれだけでお重の主役となりますね。
斜めに横切るように置けば、とても華やかになること間違いなしです。
美味しいといえば甘エビもあるものの、こちらは生で食べてこそ甘味が引き立ちます。
おせちに向いているとは言えず勿体無い使い方となってしまうので辞めておきましょう。
桜海老や芝海老も鮮やかな赤色は目立ちます。
ですが、とにかくサイズが小さいので主役となることはありません。
これもまた別のお料理で使うこととしておせちでの使用は控えておく方が賢明です。
種類以上に必要なのが腰が曲がっていることです。
海老(えび)は敢えてまっすぐに伸ばすほうが大変です。
ただ茹でるだけで真っ赤に・そして腰も自然につの字に曲がるので無理する必要はありません。
腰と共に老人としての意味を成すのが長いヒゲです。
邪魔に思うかもしれませんがこれも残したまま調理し盛り付けるようにしましょう。
蓋を開けたときの見栄えの良さも重要ポイントとなるので、少々値は張っても有頭のものを買ってくるようにしましょう。
そのまま丸齧り(まるかじり)することは無いので食べる時にはただのゴミになるかもしれません。
でも海老のうま煮と作る場合にも頭にある味噌が溶け出して良い出汁となっているのです。
無頭を買ってくるとコクの無いどこか気の抜けた味のうま煮となって食した時にも物足りなくなってしまいます。
おせちの海老(えび)にエビチリを入れるのはおかしい
おせち料理にエビチリを入れるのはおかしいものなのか気になるところですね。
昔は主婦達が年末のうちに頑張っておせちを作り、正月三が日くらいはのんびり過ごせるようにとしたものです。
ですが最近は黒豆など一部を作るだけだったりデパートやスーパーで買ってくるというお宅も多くなりました。特にデパートなどのおせちは豪華、伊勢海老はもちろん金箔がちらして合ったりととにかく見た目からしてもすごいのです。
日本の伝統的献立なのにエビチリはおかしいという声も多いです。
でも実はこのメニューは中国には無く日本生まれの中華料理なのです。
なので日本のおせちに入っていても問題はありません。
エビマヨや冷やし中華に点心飯・焼き餃子などもすべて日本発祥のお料理です。
カレーやラーメンだって日本の国民食としての地位を確かにしています。
海外から入ってきた文化を自分のものとしてしまう能力はかなりのものです。
今更これはうちのものではないと阻害するのこそがおかしいのではないでしょうか。
正月くらい精のつくものを食べて英気を養わないと倒れてしまうといった毎日を送っていた昔の方と違っています。
今は栄養過多と言えるくらい日々充実しています。
家族みんなで美味しく頂けて仲良く過ごせるのであれば、何を食べようが問題ないのです。
それに、腰が曲がって長いひげが生えていてという姿をもつ海老という食材そのものが意味を持っています。
うま煮になろうがチリソースで和えたとしても長寿という面では損われていないはずです。
お正月くらいは伝統を親から子へと伝えるもよしです。
それぞれに素敵な一日を過ごしているようです。
せっかくデパートでも毎年面白い企画を打ち出してきています。
伝統的なメニューと交互に注文したり大人数だったら定番と異色の2種類をそろえてというのも面白いかもしれませんね。
おせちの海老(えび)の詰め方
おせちの海老(エビ)の詰め方ですが、重箱は上の段から「一の重・二の重・三の重」と呼ばれます。
一の重には祝い肴や口取り・二の重に焼き物と酢の物・三の重に煮物といった具合に詰め方にもルールがあるのです。
そのうち、海老(えび)は二の重に入れることとなります。
ここはおせちにおけるメインディッシュにあたる場所、その他にも鯛やカズノコ・紅白なますなどが入ります。
更に飾り用のシダ・松の葉などの小物類も使うと華やかになります。
上手く配置するのが難しければ市販の仕切りを購入するとより盛り付けやすくなるでしょう。
田の字型や市松型・手綱型に七宝型など仕切りだけでも種類が多様です。
ホームページを見れば盛り付けられた状態での写真もたくさんあるので、それらを参考にしても良いです。
伊勢海老のような大きな物であれば中心にドンと、そうでなければ複数個を一箇所にまとめて置くようにします。
頭もひげも取れてしまわないよう慎重に行うことです。
大切なのは頭を左側に来るようにすること、焼き魚など普段のメニューでも常識となっている魚料理のマナーです。
伊勢海老のような大きな存在で左右を逆にしてしまうと常識知らずなのをおおっぴらに宣伝しているようなもので社会人としてかなりの恥です。
もちろん、エビフライの時のようにまっすぐにぴんと伸びた姿にしようと無駄な努力はしないことです。
正月中少しずつ食べていくお料理ですからしっかりと煮汁を切ってから盛り付けることです。
こうして少しでも悪くならないようにの工夫もすることです。
食べるとき以外は暖房の効いていない涼しいお部屋に置いておく方が良いかも知れません。
無理に調理した全部を詰めようとはせず、見た目のバランスを重視することです。
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減っていったらまた足しながらいつでも蓋を開けたら華やかで美しい状態を保てるようにしましょう。
最近ではお重には詰めずお皿に盛って出すというお宅も増えています。
結び
おせちに海老(えび)は定番中の定番ですね。では、この海老を入れる意味ってご存知でしょうか?
海老にもいろいろとありますがおせちにおすすめの海老もあります。
とく聞くことの1つにおせちにエビチリを入れるのはおかしいか?という疑問です。
さらには、海老の詰め方なんかもけっこう悩みどころのようですね。
そこでここでは、おせちの海老についてその意味やエビチリはどうなのか?
長く伸びたひげと腰の曲がった姿が長寿を意味する海老、おせち料理の定番です。
車えびやブラックタイガーもあります。しかし、より豪華にするなら伊勢海老もおすすめです。
この時期にはおせちの海老としての種類が多数出回るので予算なども考えながら選ぶようにしましょう。
最近はエビチリを入れるというお宅も出てきました。
実はこれも立派な日本料理の一つですし長寿という意味を損うことが無いのであれば決しておかしいことはありません。
家族が美味しく頂けて楽しく年が越せるのであれば充分なのです。
もちろんおせちは大昔から続いてきた日本の伝統です。
正しい盛り付け方や調理法を知っておいてまた次の代へと伝えていくのもまた良いことです。
もっと手軽にデパートやスーパーマーケットで買うことも出来ます。
おせちの海老同様におせち自体も多様化してきています。
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