先カンブリア時代はすべての生物にとってとても大事な出来事の始まりとなります。
それが、生物や化石の特徴で解明されようとしています。
なお、酸素の生成と縞状鉄鉱層の形成についてもいろいろと研究が進んでいます。
ここでは、先カンブリア時代の生物や化石の特徴の詳しい解説していきます。
また、酸素の生成と縞状鉄鉱層の形成についても紹介していきます。
先カンブリア時代の生物の特徴
先カンブリア時代は、地球が生まれた約46億年から約40億年の間を指します。
原始地球が誕生した直後ですから、現代の地球とは見た目も生物もまるで異なるのが特徴です。
また、あまりに時代が古く研究の途上にあるので、分からないことばかりというのが実際のところです。
先カンブリア時代の生物は、肉眼で確認できる化石が産出される前の時代に位置するので、化石の産出自体が稀です。
地球が誕生した頃は、地表のいたるところがマグマに覆われていました。
そのため、生命が誕生したり進化するどころではなかったといえます。
この地表の状態をマグマオーシャンといい、文字通り海がマグマで満たされているイメージです。
生命がいつ誕生したかといえば、それは放射冷却で地表が冷えるのを待つ必要があります。
生命の根源ともいえる海の誕生は約40億年前です。
海ができる以前の先カンブリア時代は、生命そのものが珍しかったことが想像できます。
海が誕生するまでは酸素が薄かったことから地球で誕生した初期の生命は、酸素を必要としない特徴を持っていたと思われます。
酸素濃度の上昇には、光合成をする生物が関わっているので、この生命誕生が進化の鍵を握っています。
シアノバクテリアの誕生
光合成で酸素の生成を担ったのは、シアノバクテリアと呼ばれるものです。
シアノバクテリアは化石の状態で残っているので先カンブリア時代に存在していたことは間違いないです。
情報が限られる当時の先カンブリア時代の様子を調べる重要なヒントとなっています。
やがてシアノバクテリアは繁栄していき、時間を掛けて地球上に酸素が行き渡るようになりました。
生命の誕生と進化は、まさにこのシアノバクテリアの誕生の前後で大きく違ってきます。
ちなみに、化石で発見されている最古の細菌類は約35億年前のもので、原核生物の化石は34億6千万年前のものが古いとされます。
生命の誕生には諸説あって、43億年前の誕生説も存在します。
しかし、考察の余地が大きいので詳細な研究は困難です。ただし確認されている最古の多細胞生物は約6億年前のものです。
先カンブリア時代はほぼバクテリアや細菌など、微生物に支配されていた時代が長かったと分かります。
シアノバクテリア自体は単純で、大幅な進化は見せていないです。
やはり、酸素を生み出す活動が地球環境に変化をもたらし、生命誕生の土台を作ったのは間違いないです。
エディアカラ生物群の支配
先カンブリア時代の終盤は、エディアカラと呼ばれる種類が豊富な生物群が支配していました。
豊富といっても骨格は存在せず、殻のようなものもなかったので殆どが軟体です。
しかも、現在の生物とは関係性が確認されていないので、ほぼ全てが絶滅してしまったと考えられます。
カンブリア紀には他の生命が誕生して爆発的に増えています。
余談ですが、先カンブリア時代の日本に関する情報はなく、地層が発見されている古生代以前のことは未知数です。
改めて確認すると、先カンブリア時代の初期は酸素が非常に薄い状態となります。
なので、地表が冷えたりシアノバクテリアが誕生するまでの間は、生命が殆ど存在していませんでした。
初期は薄い酸素の中を生きるだけで精一杯だったので、進化どころではなかったわけです。
シアノバクテリアの光合成と、それによる酸素濃度の上昇によって生命は誕生と絶滅を繰り返しています。
進化に至るまでは、地球環境に適応する試行錯誤の連続でした。
軟体が中心のエディアカラはその試行錯誤の結果の1つだと考えることができます。
結局は絶滅してしまったわけですが、その後の爆発的な生命の増加や多様性に繋がっています。
結果、絶滅したものも無駄ではなかったといえるでしょう。
先カンブリア時代の化石の特徴
先カンブリア時代の化石の特徴には、ストロマトライトと呼ばれる縞模様が挙げられます。
ストロマトライトは、シアノバクテリアを始めとした生物の死骸と泥粒などで構成されていて、層状に重なり合うことで縞模様になっています。
化石が先カンブリア時代のストロマトライトと認められるには、内部にこの縞模様が存在することが必要です。
つまり、表面に縞模様があっても、それがストロマトライトと限りません。
その為、ストロマトライトはドーム型に大きくなる特徴があります。
ですが、縞模様とドーム型でおおよその見当をつけることは可能です。
ストロマトライトの研究はあまり進んでおらず、今後解釈が変化したり、新たな発見が起こることもあり得ます。
間違った解釈は、先カンブリア時代の他の研究に影響を及ぼしますから、研究者達は慎重です。
慎重な姿勢もまた、先カンブリア時代の化石が発見しづらい理由に結びついています。
先カンブリア時代の化石を発見しづらい理由
調べるのに手間が掛かることはこの時代の化石が発見しづらい理由の1つでもあります。
しかし、根本的にはやはり生物の多様性に乏しくバクテリアや細菌類が殆どだったことが、化石の発見しづらい一番の理由です。
軟体生物のエディアカラの化石も見つかっています。
しかし、絶滅している上に数が限られるにも関わらず、それ以前の生物より多く発見されます。
先カンブリア時代の地層は化石の絶対数が少なく、大きな地層の変形も起こっています。
このように最初期の生物は発見しづらい理由ばかりだといえるでしょう。
先カンブリアと一口にいっても時代は長く、時代が古くなればなるほど発見できる生き物は減っていきます。
肉眼で発見できる化石が発見されていて、数もそれなりに多いのは先カンブリア時代終盤に存在していたエディアカラです。
エディアカラが誕生する以前、先カンブリア時代の大部分の生命の痕跡は地層に残っている数が限定的です。
それが見つかればかなりラッキーという感じです。
水深だと1500mくらいの高さに位置するので、潜水して調べたり発見するのも一苦労です。
生命が石に痕跡を残すには、生物の死骸の骨と柔らかい堆積物のように、形に残る条件が不可欠です。
肉眼で発見されるものはエディアカラが多く、後はシアノバクテリアで構成されているストロマトライトくらいです。
当時は大規模な洪水が発生していたという説があって、比較的大きな生き物は流されてしまったといわれます。
地球は一度、8億年~6億年ほど前に凍結を経験しているので、この時代の生物は殆どが死滅しています。
生命の進化が分断されたともいえますから、過酷な時代で生命の痕跡が殆ど残っていないのも無理はないです。
元々単細胞の生き物は地層に残りにくく、逆に残りやすい多細胞が増えたのは6億年くらい前のことです。
初期の地球の生命を支えたシアノバクテリアも、絶対数は多かったとはいえないです。更に数が限られていた単細胞生物がレアなのは当然であって仕方がないです。
このように情報が乏しいことから研究者が慎重なのも理由です。
単細胞で形が残りにくく、水深の深いところに存在していたり、洪水で多くが流されてしまったのも発見しづらい理由となります。
地球の凍結の影響は特に大きく、細菌にとって増殖や進化が難しかったことも無視できないです。
こうして生命には長らく過酷な時代が続き、地球環境が不安定なこともありました。
度重なる絶滅を乗り越えてカンブリア爆発へと至ります。
発見される化石がカンブリア爆発以降に増えていることからも、先カンブリア時代は特に厳しかったことが窺えます。
先カンブリア時代の酸素の生成
先カンブリア時代の酸素生成は主に、他の生物に先んじて光合成を始めたシアノバクテリアが担っています。
シアノバクテリアの誕生と増殖によって酸素生成は進み、濃度が上がって生命が誕生しやすくなりました。
シアノバクテリアが誕生して光合成を始めたのは、約27億年ほど前とされています。
水蒸気圧は約300気圧、二酸化炭素などは最大で100気圧ほどと、現代の地球では考えられないほどの高圧です。
太陽の明かりは現代の70%くらいで、地表の気温が60℃を超えていたという説もあります。
これを合わせると、他にも多くの生命に過酷な要因があったことが理解できます。
シアノバクテリアの存在は地球生命誕生の大きな切っ掛けで、光合成をしたり増殖しやすかったのはラッキーです。
それでも当時の酸素は、大気中の成分の精々1%くらいだったとされています。
これは、決して高濃度だったわけではないです。シアノバクテリアだけでは十分な生成には至らなかったようです。
酸素濃度の大幅な増加にはカンブリア爆発まで待つことになります。
光合成をする微生物の功績
地球の全球凍結は、生物にとって過酷だった一方で、光合成をする微生物の増加に繋がりました。
これは生命の進化に大きく寄与したできごとです。
先カンブリア時代においては、シアノバクテリアが地球全体に酸素を行き渡らせたことが功績に数えられます。
濃度自体はそれほどでもありませんでした。しかし、海水中に溶け込むほどの濃度を達成したのは大きなポイントです。
仮にもしシアノバクテリアが存在しなかったら、生命の誕生や進化はもっと遅れていたかもしれません。
または、多様性が見られなかった恐れがあります。先カンブリア時代におけるシアノバクテリアの存在感は大きいです。
とても長い時間を掛けて生命が誕生しやすくなったのは、現代人の時間の感覚からすると気が遠くなることです。
スケールが大きい上に進化以前の生命誕生に関わることなので、非常に小さくて単純です。
しかし、バクテリアが果たした役割は軽視できないものです。
地球が生命にとって住みやすい環境になったのは、シアノバクテリアの他に微生物が誕生したり、全球凍結とその後のカンブリア爆発のおかげです。
シアノバクテリアが残した成果は決して小さくありません。光合成を行う生物誕生のチャンスを増やしたことで、長い先カンブリア時代を脱することができました。
先カンブリア時代の縞状鉄鉱層の形成
先カンブリア時代の地層は、縞状鉄鉱層(しまじょうてっこうしょう)と呼ばれています。
これは約25億年前に大量に形成されたといわれる層です。
海水の鉄イオンが酸素と結びつき、酸化鉄が生まれて沈殿した結果と考えられます。
鉄イオンと酸素の結びつきの切っ掛けは勿論シアノバクテリアの光合成です。
それ以前の鉄は結びつく酸素がないまま海水中に溶け込んでいました。
大気中には僅かな酸素があったものの、海水中に溶け込むほどではなかったわけです。
縞状鉄鉱層の色は酸化鉄の赤が中心で、いわゆる鉄錆の色をしています。
縞模様が層になっているのが縞状鉄鉱層の特徴ですが、層を形成している理由は不明です。
しかし形成に時間が掛かっているので、経時による変化や季節による酸素濃度の違いという説に繋がっています。
幾層にも重なる層からは、シアノバクテリアの重要性や光合成で生み出された酸素の量などです。
これらが、先カンブリア時代を動かした功績が感じられるはずです。
25億年も前の地層が残っていることは感動的ですし、それもはっきりと層を確認できる点が魅力です。
現代の鉄は縞状鉄鉱層から採れる鉄鉱石が大部分を占めているので、時代や生物の研究以外においても重要です。
この層の形成は約17億年前に終わっていますから、酸素と結びつく鉄イオンがなくなったと思われます。
そして、行き場を失った酸素は海水中から大気へと放出され、地球の大気が酸素で満たされたと結論づけられます。
そう考えるとシアノバクテリアの光合成は、鉄鉱石の誕生と大気層に寄与している重要性の理解が深まります。
約8億年も掛けて光合成をして酸素を作り続けてきたわけです。
そのため、呼吸が当たり前のようにできることを思えば、シアノバクテリアには頭が上がらないですね。
鉄の存在は人類の発展に関わっているので、こちらもシアノバクテリア様様といったところです。
原油にしても他の鉱石にしても、大昔の生物の活動や死骸の堆積によって生まれています。
人類の先輩の生物がいなければ、現在の人間の生活は成り立たなかったことでしょう。
シアノバクテリアは特に大先輩といえる存在で、分類的には藻の一種です。
それが単種の生物とは思えないほど重要な役割を果たしています。
印象的な地層を生み出し、大気を酸素で満たしたことを考慮すると当時のシアノバクテリアの影響力は凄まじいです。
先カンブリア時代の生物や化石の特徴?酸素の生成と縞状鉄鉱層の形成!のまとめ
先カンブリア時代の生物や化石の特徴は、単細胞生物が中心で、初期は特に酸素を必要としない生物が中心でした。
縞模様の化石で発見されるシアノバクテリアは、先カンブリア時代の酸素を光合成で担った偉大な存在です。
酸素の生成が継続的に行われ、海水中に溶け込んだ結果、海水中の鉄イオンと反応して縞状鉄鉱層の形成に至ります。
誕生したばかりの地球は、マグマに覆われ高温だったので、冷めるまでに時間を要しました。
酸素濃度は薄く生物には過酷だったので、酸素をあまり必要としない生物が地球初期の生命だったといわれます。
単細胞生物が生まれ、光合成をする生物が増えたのは、全球凍結で地球が凍ってしまった後のことです。
この時代も終わりに差し掛かると、軟体のエディアカラ生物群が誕生して、生命の多様性が窺えるようになります。
長い時間を掛けて作られてきた縞模様の地層や鉄鋼層は、今も残されています。
地球の歴史と生命進化のロマンを感じさせますね。
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